小規模企業景気動向調査

平成26年6月期調査

～全般に弱い動きだが、一部に持ち直しの動きも見られる小規模企業景況～

2014年7月25日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員

調査時点：2014年6月末

調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ ◇…全般に弱い動きだが、一部に持ち直しの動きも見られる小規模企業景況…◇

　6月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の採算および業況DI（景気動向指数・前年同月比）はわずかに改善したものの、売上額および資金繰 りDIは不変であった。経営指導員から、好転材料として、製造業で、受注の増加に対応するため、設備投資を検討している事業者があったとの報告があった一 方で、地方の小規模企業においては、引き続き消費増税の影響があり、景気回復の実感は得られていないとの報告もあった。

＜製造業＞　◇…コスト高の影響があるものの、受注増の動きも見られる製造業…◇

　製造業は、資金繰りDIはわずかに悪化したものの、採算および業況DIはわずかに改善し、売上額DIは不変であった。経営指導員から、好転材料と しては、1.機械・金属関連で、携帯電話関連や、はん用・生産用機械、電気機械関連などで受注が増加している、2.食品関連で、お中元の季節を前に受注が 増加しているケースがあったなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.引き続き原材料費や燃料費が高騰し、採算が取れない、2.建設関連の製造業 で、消費増税後、建設業の発注が低下している影響で受注が減少しているなどの報告があった。

＜建設業＞　◇…消費増税前の駆け込み需要の反動で、依然、受注減少が続く建設業…◇

　建設業は、売上額DIは大幅に悪化、また、業況DIは小幅に悪化したものの、採算および資金繰りDIは多少改善した。経営指導員から、好転材料と しては、1.公共工事関連で、土木工事などの発注が増加し、下請け業者においても受注が増加している、2.住宅関連で、新築やリフォームなどの受注が増加 しているなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.引き続き資材価格が高騰し、収益が圧迫されている、2.駆け込み需要の反動で住宅関連の受注が 減少しており、反動減から回復の兆しは感じられないなどの報告があった。

＜小売業＞　◇…一部で消費増税前の駆け込み需要の反動が和らぎ、改善が続く小売業…◇

　小売業は、業況DIは大幅に改 善、また、売上額、採算および資金繰りDIは多少改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.食品関連や生活必需品関連で、一部地域で駆け込み需要 の反動が和らぎ、売上額が増加している、2.土産品関連で、観光客の増加に伴い、売上額がやや増加したケースがあったなどの報告があった。また、悪化材料 としては、1.衣料品関連で、夏物衣料の動きが悪く、売上額が減少した、2.耐久消費財関連で、駆け込み需要の反動で、エアコンやテレビ、自動車の売上額 が減少しているなどの報告があった。

＜サービス業＞　◇…原油高などの影響が残るものの、若干持ち直したサービス業…◇

　サービス業は、資金繰りDIはわずかに悪化したものの、売上額および業況DIは多少改善し、採算DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、 1.宿泊・観光関連で、一部地域で、観光客や工事関係者の増加により好調であった、2.クリーニング業で、夏季を前に需要が増え、売上額が伸びたなどの報 告があった。また、悪化材料としては、1.理美容業で、消費増税に伴う顧客の節約志向から、来店間隔が長期化し売上額が減少している、2.運送関連で、ガ ソリン価格が引き続き上昇しているため、採算が取れないなどの報告があった。