小規模企業景気動向調査

平成27年4月期調査

～ 業種によりばらつきがあるものの、全体では改善が続いた小規模企業景況 ～

2015年5月27日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員
調査時点：2015年4月末
調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ ◇…業種によりばらつきがあるものの、全体では改善が続いた小規模企業景況…◇

　4月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI（景気動向指数・前年同月比）は若干改善となった。項目別に見ると、売上額および資金繰りDIは多少改善、採算DIは不変となった。消費増税後、業況DIが3ヶ月連続で改善したのは初めてであるが、経営指導員からは、①緩やかな回復基調にあり、設備投資が増加してきたが、増税前の水準には戻っていない、②地方では未だ景気回復の実感がなく、今後のプレミアム付き商品券の消費喚起に期待したいなどの報告があった。

＜製造業＞　◇…機械部品・電子部品関連の受注好調などにより改善が続いた製造業…◇

　製造業の業況DIは、小幅改善となった。項目別に見ると、売上額DIは大幅改善、資金繰りDIは若干改善となったが、採算DIはわずかに悪化となった。経営指導員から、好転材料として、①機械部品関連や電子部品関連などで、受注が堅調で回復基調にある、②一部の食品関連で、売上がやや上向いてきているなどの報告があった。また、悪化材料としては、原材料高が続いているため、利益確保が難しいなどの報告があった。

＜建設業＞　◇…コスト高・人手不足が続き、悪化に転じた建設業…◇

　建設業の業況DIは、小幅悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは大幅悪化、採算および資金繰りDIは小幅悪化となった。経営指導員から、悪化材料として、①住宅関連で、新築工事の受注が減少している、②資材価格の高騰に加え、有資格者・経験者を中心に人材不足が続いており、採算が悪化しているなどの報告があった。また、好転材料としては、一部の地域で、長期の公共工事により、売上は安定しているなどの報告があった。

＜小売業＞　◇…一部にプレミアム付き商品券の効果も寄与し改善が続いた小売業…◇

　小売業の業況DIは、若干改善となった。項目別に見ると、売上額DIは大幅改善、採算および資金繰りDIは多少改善となった。経営指導員から、好転材料として、①プレミアム付き商品券が販売されたことにより、消費者の購買意欲がやや向上し、一時的に売上が増加した、②買い控えの傾向はあるが、消費増税直後と比べると徐々に戻りつつあるなどの報告があった。また、悪化材料としては、野菜等の価格高騰により、利益率が低下しているなどの報告があった。

＜サービス業＞　◇…宿泊・観光関連が好調を維持したことにより改善が続いたサービス業…◇

　サービス業の業況DIは、若干改善となった。項目別に見ると、売上額、採算および資金繰りDIは多少改善となった。経営指導員から、好転材料として、①宿泊・観光関連で、北陸新幹線の開業等に伴い、特に外国人客が増えて好調である、②クリーニング業で、燃料価格の低下により、資金繰りがやや好転した、③理美容業で、入学・就職シーズンで若年層を中心に売上が増加したなどの報告があった。また、悪化材料としては、飲食関連で、宴会の減少や材料費の高騰により、収益が圧迫されているなどの報告があった。