小規模企業景気動向調査

令和4年3月期調査

～全業種で売上が大幅改善も、原材料高騰による採算悪化に苦しむ小規模企業景況～

2022年4月30日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員
調査時点：2022年3月末
調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ 全業種で売上が大幅改善も、原材料高騰による採算悪化に苦しむ小規模企業景況

　3月期の産業全体の業況は、売上DIが10pt超、その他のDIは小幅な改善となり、1・2月の大幅な悪化からプラスに転じた。コロナ感染者数が減少傾向にあり、まん延防止等重点措置が解除されたことから、一部業種で経済活動が活発化し、売上が増加している。しかし、原油高や資材不足による原材料高騰から、仕入高の増加につながっており、採算の悪化を招いている。また、コロナ禍の厳しい経済状況の中、価格転嫁が進まず、事業者を苦しめている。

＜製造業＞ 原材料高騰、原材料不足の影響で、採算悪化に苦しむ製造業　

　製造業は、売上DIが大幅改善、採算・資金繰りDIが小幅に改善する中、採算DIのみマイナスの値を示した。食料品関連は、飲食店向けの業務用商品の売上が改善傾向にあるものの、小麦や油等の価格高騰の影響で採算は厳しくなっている。繊維業では、生糸等の値段が高騰し採算が悪化している。機械・金属業は、半導体製造装置関連での引き合いが多いが、仕入れ部品の入荷遅れにより生産が滞っている状況が続いている。また、原材料高騰に加えて最低賃金の上昇等で、製造コストが大きく増加しているとのコメントがあった。

＜建設業＞ 年度末の公共工事で好調も、資材不足による原材料高騰及び工期遅延に苦しむ建設業

　建設業は、売上DIが大幅、採算DIが小幅な改善へと転じた。豪雪による除雪作業で、対前年比を上回る売上高の事業者が増加し、また、年度末の公共工事による売上の増加が見られた。しかし、資材不足の影響がさらに拡大しており、木材に続き、陶器・金属類(鉄・アルミ等)の原材料や半導体不足等の影響のため機器・設備が入手難となり、顧客への引き渡しが遅れているとのコメントがあった。加えて、原油価格の高騰により、重機等に使用する燃料代の負担感が増しているとのコメントがあった。

＜小売業＞ 巣ごもり需要や季節需要で売上改善も、限定的な改善にとどまった小売業

　小売業では、売上額DIは10pt超、その他は小幅な改善となった。食料品関連は、巣ごもり需要で堅調を維持しており、また、一部地域で行政主導の消費キャンペーンによって売上の増加が見られたとの報告があった。衣料品関連は、入学式等の学生服関連需要で売上増加傾向も、それ以外の売上は減少傾向であるとのコメントがあった。耐久消費財関連は、世界的に半導体が品薄の中、新車は納車まで3、4ヶ月待ちのため、中古車の需要が増し、価格高騰が見られるとのコメントがあった。

＜サービス業＞ 感染縮小による大幅改善も、長引くコロナ禍で楽観視できないサービス業

　サービス業は、売上額・採算・業況DIが10pt超改善、資金繰りDIも改善に転じた。旅館関連は、まん延防止等重点措置の解除に伴う予約数が増加し、全DIが2桁超回復した。洗濯関連・理美容関連は、季節行事に伴う売上増加と、一部地域で行政主導の消費キャンペーンによって売上が増加している。洗濯関連は、原油価格高騰の影響を強く受け、採算が悪化しているとのコメントがあった。また、影響が長期化している状況から先行きが暗いとのコメントが目立った。

全国商工会連合会　政策推進部　事業環境課