小規模企業景気動向調査
令和7年1月期調査
~長引くコスト高により、先行きが不透明な状況である小規模企業景況~
2025年4月21日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2025年1月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>
長引くコスト高により、先行きが不透明な状況である小規模企業景況
1月期の産業全体の景況は、売上額・採算DIがわずかに低下し、資金繰り・業況DIは不変であった。前年同月比で全てのDIがわずかに低下しており、仕入価格、人件費、燃料費等の様々なコスト高により、景気が改善しているとは言いづらい状況である。多くの業種において、物価高による消費者の節約志向の強まりが共通課題となっており、課題解決に向けた政府支援策を求める声が多い。
<製造業(食料品、繊維、機械・金属)>
業種により改善が見られるも、全体としては停滞気味の製造業
製造業は、売上額・資金繰りDIがわずかに上昇し、採算・業況DIはわずかに低下した。食料品関連は、全てのDIが低下した。昨年から継続して米の価格が高止まりしており、消費者のみならず事業者にも長期的な影響を及ぼしている。繊維関連は、全てのDIが上昇した。国による下請け法の改正に向けた動きから、価格転嫁を進めやすい状況になってきたとのコメントがあった。機械・金属関連は、取引先の業績悪化による受注減少について言及するコメントが複数あった。
<建設業>
季節的な要因から一部で改善傾向が見られた建設業
建設業は、売上額・採算DIがわずかに低下、資金繰りDIはわずかに上昇し、業況DIは小幅に上昇した。暖冬であった昨年と比較して降雪が続いたことにより、除雪作業を請け負っている事業者は好況であった。他業種と比較して受注、売上については堅調な事業所が多い傾向が継続している中、増加傾向であったリフォーム需要が減り始めているとのコメントが一部あった。消費者の節約志向の影響が広がってきていることが窺える。
<小売業(衣料品、食料品、耐久消費財)>
改善傾向から、小幅な悪化に転じた小売業
小売業は、売上額・採算DIが小幅に低下、資金繰り・業況DIはわずかに低下した。衣料品、耐久消費財関連はともに増加したDIがなかった。季節的な要因として、年末需要が落ち着いたことがDIに影響を与えたと思われる。前月から引き続き、いかにして消費者の消費行動を促進させるかに苦心している状況が窺えるコメントが多かった。食料品関連は採算DIが直近1年間で最低値であった。米や野菜等の生鮮食品の値上がりの影響がかなり大きい状況である。
<サービス業(旅館、クリーニング、理・美容)>
業界全体で足踏み状態が続くサービス業
サービス業は、売上額DIが小幅に低下、資金繰り・業況DIはわずかに低下した。また、前月と同様に前年同月比で見ると全DIが低下した。旅館関連は、前年同月比で全てのDIが低下した。客数は増えているものの、素泊まり等による客単価の減少および各種コストの増加により苦しい状況とのコメントが多かった。クリーニング、理・美容関連はともに売上額・資金繰り・業況DIが低下した。両業種ともに顧客の来店頻度の減少が目立つ中、打開策が見出せていない状況である。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課