小規模企業景気動向調査

平成29年11月期調査

～人手不足や原材料高騰が重しとなり、わずかな改善に留まった小規模企業景況～

2017年12月26日

全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員
調査時点：2017年11月末
調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞◇…人手不足や原材料高騰が重しとなり、わずかな改善に留まった小規模企業景況…◇

　11月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI（景気動向指数・前年同月比）、資金繰りDIは先月と比べ若干改善し、売上額DIは小幅に改善する一方で、採算DIはわずかに悪化した。売上DIは、建設業を除き改善がみられるが、慢性的な人手不足に加え、野菜や原油などの高騰が採算確保の重しとなっており、本格的な業況改善には至っていない。

＜製造業＞　◇…年末年始の需要で売上が伸びる一方で、経費上昇のため収益確保に苦慮する製造業…◇

　製造業の業況DIは小幅に改善、先月と比べ売上額DI、採算DI、資金繰りDIは若干ではあるが改善が見られた。経営指導員からは、食品製造業を中心にお歳暮やクリスマスイベント、正月等の年末年始の需要が増えたため、売上が伸びてきているとの報告があった。一方で、人件費や原材料費、運賃等の経費の上昇のため、売上増が収益に反映されていないとの報告があった。

＜建設業＞　◇…仕事量はあるものの、人手不足等により受注の取りこぼしが目立つ建設業…◇

　建設業の業況DIは小幅に改善したものの、売上額DIは不変、資金繰りDIはわずかに改善、採算DIに至っては小幅に悪化となった。民需・公需を問わず、仕事量はあるものの、人手不足感が根強く、工期が間に合わず応札できな事業者もあるとの報告や、新規雇い入れが困難なため、一時的な仕事量の増加を歓迎しつつも、下請業者の確保も難しいことから、売上の取りこぼしが起きているとの報告があった。

＜小売業＞　◇…売上減少が下げ止まるも、ネット通販に消費者が流れ厳しい状況が続く小売業…◇

　小売業は全項目で改善が見られたが、２ヶ月ぶりに改善した業況DIの改善幅はわずかであった。売上額DIは大幅改善、採算DIはわずか、資金繰りDIは小幅に改善した。売上額DIをみると、前年度に比べ、売上減少が少なくなっている。経営指導員からは、景況感の改善がみられるとのコメントがある一方で、ネット通販の普及により店頭での売上が伸びないことや野菜価格の高騰により、粗利益率が低下しているとの報告があった。

＜サービス業＞　◇…一部の観光関連では売上増がみられるも、原材料等の値上がり等により利益確保が難しいサービス業…◇

　サービス業の業況DIは、不変であった。売上額DIは、先月から一転しわずかに改善したが、採算DIは小幅に悪化、資金繰りDIはわずかに悪化した。経営指導員からは、秋の行楽シーズンを迎え、観光関連業種では、観光需要を取り込み売上確保をしているところがある一方で、天候不順により売上・利益とも減少したとの報告があった。また、飲食店や旅館業では、原材料や燃料価格が値上がりし採算が悪化している、理美容業では客数減少に伴う売上減少が続いているとの報告があった。

 

 

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