小規模企業景気動向調査
令和2年2月期調査
~新型コロナウイルスの影響により、全業種が大幅悪化となった小規模企業景況~
2020年3月25日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2020年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> 新型コロナウイルスの影響により、全業種が大幅悪化となった小規模企業景況
2月期の小規模企業景気動向調査は、全DIが大幅な悪化となった。産業全体の悪化幅は▲15.2ptであり、ここ10年では、平成26年4月の消費税率の8%への引き上げ時の▲24.3ptに次ぐものとなった。建設業では暖冬、小売業では消費税増税の影響についてのコメントが一部で見られたが4業種すべて新型コロナウイルスの影響に関するコメントが目立った。サービス業を中心に各種イベントの中止や外出や旅行を避ける消費控えが目立つが、製造業・建設業の部品・原材料の供給の支障についても深刻であり、全業種とも先行きの明るさは無い。
<製造業> 中国産原料・部品等の停滞・イベントの中止等で影響をうける製造業
製造業は、先月に引き続き全DIで悪化となった。全DIの悪化幅が10pt以上となり、特に業況は21.3ptと4業種でもっとも大きかった。金属製品製造業等の一部業種で売上が好調とのコメントが見られたが、全体的には、新型コロナウイルスの影響が大きい。繊維関係や自動車関連などに中国産原料・部品に依存している業種では、仕入れに支障が出て、生産が停止する工場も出てきた。また、需要を見越していた食品製造業では、イベント中止により売上が減少するなど、各所に影響が拡がっている。
<建設業> 売上DIは改善も、資金繰りの悪化に苦しむ建設業
建設業では、売上額DIのみ小幅に改善したものの、他3DIは悪化となった。資金繰りDIでは悪化幅は12.2ptとなった。他の3業種と比べると、幾分、改善を示すコメントが目立った。ただし、先月に引き続き暖冬少雪による除雪需要低下や、新型コロナウイルスの影響により特に中国の工場に依存しているトイレやキッチンなどの水回り品、アルミサッシ、IHヒーター等の納品の遅れが発生しており、工事を終えても、内装が完成しないため、家屋物件の引き渡しができず、工事代金の入金が得られず、資金繰りに窮している報告があった。
<小売業> 新型コロナウイルスの影響で、一部商品に需要が殺到も、全体的には需要減に苦しむ小売業
小売業は、全DIが大幅な悪化となった。売上及び業況DIは▲50pt超となった。マスクやガーゼ等の衛生用品、カップ麺等の日持ちのする食料品の売上が増加した。ただし、小規模小売店では供給が追い付いていない。また、家電小売業では、中国等の物流制限により、家電の部品や製品が入荷しない状況にある。2月下旬には、感染を危惧して外出を控える動きが顕著になっており、先行きを危惧する声が多く報告された。
<サービス業> 新型コロナウイルスの影響で、深刻な状況に陥るサービス業
サービス業は、先月に引き続き、全DIが悪化となった。改善を示すコメントはほとんど無かった。新型コロナウイルスの影響により、旅館業では団体・個人、外国人・日本人を問わず予約のキャンセルが相次いでおり、飲食業や理美容業でも、イベントの中止や会合の自粛など外出を控える動きの影響で売上が大きく減少している。特に、2月後半から状況は深刻化しており、客数が大きく減少し、ほとんど売上が立たないなど深刻な状況に陥っているという悲痛なコメントも多く見られた。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課