小規模企業景気動向調査

令和2年10月期調査

5ヶ月連続で全業種改善も、コロナ禍前の水準には程遠い小規模企業景況

2020年12月3日
全国商工会連合会

<調査概要>

調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2020年10月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

<産業全体> 5ヶ月連続で全業種改善も、コロナ禍前の水準には程遠い小規模企業景況

 10月期の小規模企業の業況DIは、全業種で5ヶ月連続の改善となったが、未だ、学校休業要請のあった2月期の水準に届いていない。GoToトラベルキャンペーンや各地でのプレミアム商品券の発行等の景気刺激策の効果により、消費者の動きが徐々に戻りつつあり、全体的には経済活動が回復基調にある。しかし、感染防止対策を実施しながらの事業活動であることから、業況はコロナ禍前の水準には程遠い。回復基調ではあるが、先行き不透明の中で今後の感染拡大を懸念する声や支援策の継続を求める声も多く、期待と不安が交錯するコメントが目立った。

<製造業> 回復基調も、業種・地域等により明暗が分かれた製造業 

 製造業は、5ヶ月連続で全DIが改善した。食料品関連は、引き続き、巣ごもりで内食需要が堅調であり、飲食店や観光施設等向けの外食需要も、GoToキャンペーン等の効果により、回復傾向にあるため業況が好転している。一方、機械・金属関連の一部では復調しているとの声があるものの、依然として、国内外の需要停滞や生産調整が続いており、厳しい状況との声も多く見られた。また、繊維関連はマスクや防護服等の売上は好調であるものの、全体的には取引規模の縮小等により業況DIが悪化に転じる等、厳しい状況が続いている。

<建設業> 全体的に回復基調も、先行き不安な建設業

 建設業は5ヶ月連続で全DIが改善し、資金繰りDIは10ptを超える改善となった。休止となっていた民間の住宅・設備関連工事が動いていること、公共工事の発注が順調であることに加えて、一部地域では災害復旧工事が継続していること等、力強さはないものの安定的に回復しつつある。しかし、一部では消費者心理や投資意欲が冷え込んでいる中、資材価格の高騰や人材の確保難もあり、先行きを懸念するコメントが目立った。

<小売業> 再び回復基調に戻るも、力強さに欠ける小売業

 小売業は、停滞から一転、売上額・資金繰りDIは大幅に、採算・業況DIも小幅ながら改善した。食料品関連は、内食向けは巣ごもり需要が堅調であり、また、GoToキャンペーンの効果により人の動きが出てきたため、外食向け需要も回復傾向にある。衣料品関連は、外出機会が増えているため、売上が大幅に回復したものの、厳しい状況である。耐久消費材関連は、各種景気刺激策等の効果により好調という声がある一方、通信販売や大型量販店での購入の増加に伴い、地域の小売店の売上は減少傾向とのコメントがあり、業況DIもわずかな悪化に転じた。

<サービス業> 宿泊業が好調で、2月期の水準を回復したサービス業

 サービス業は、全DIで5ヶ月連続で改善し、業況DIは2月期の水準を回復した。理美容業は、外出への抵抗が薄れつつあるため、引き続き回復基調にある。宿泊業は、GoToキャンペーン等の効果もあり、前月の改善幅には及ばないものの業況DIが17.1ptの改善となった。しかし、修学旅行等の団体客は少なく、また、高級宿泊施設に需要が集中し、低価格な宿泊施設には恩恵が十分に及んでいない状況が続いている。加えて、新型コロナウイルス感染症の感染状況により、客足が大きく左右されるため、先行きが不安との声が多く見られた。

全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F
TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997

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