小規模企業景気動向調査

令和3年2月期調査

前月の悪化から一転、全業種で改善した小規模企業景況

2021年3月29日
全国商工会連合会

<調査概要>

調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2021年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

<産業全体> 前月の悪化から一転、全業種で改善した小規模企業景況

 2月期の小規模企業の景況DIは、緊急事態宣言等の影響により大幅悪化となった前月から一転、産業全体及び主要4業種の全DIが改善となった。緊急事態宣言下ということもあり、巣ごもり需要を捉え、生活必需品や食料品関連の売上は好調である。一方、外出自粛要請や飲食店への営業時短要請等により、経済活動が停滞しており、サービス業を中心として、依然厳しい状況が続いている。経営指導員からは、コロナ禍の長期化により、業種・事業者間の格差が顕著となっているとのコメントが目立った。

<製造業>一部で回復の動きがあるものの、厳しい状況が続く製造業 

 製造業の業況DIは5pt近く改善し、売上額・資金繰りDIは大幅な改善となった。食料品関連は、緊急事態宣言下で内食向けが好調を維持しているものの、宿泊・飲食業向けは、取引先の時短営業や休業により、厳しい状況である。機械・金属関連は、医療衛生分野や自動車関連の売上増等により好調であり、12月の水準を上回ったが、一方で国内外の需要停滞や生産調整が続いており、厳しい状況との声も多く見られた。繊維関連は、緊急事態宣言による落ち込みこそ小幅だが、巣ごもりによる需要の低迷や展示会の中止等販路開拓手段の制限により、苦況が続いている。

<建設業> 公需・民需ともに回復基調も、今後に不安が残る建設業

 建設業の業況DIは5pt近く改善し、昨年2月期の水準に迫るまで回復してきた。一部地域では、公共工事が堅調であり、また、降雪による除雪需要や災害復旧工事の需要で好調を維持している。また、民需の住宅関連でも、修繕工事やリフォーム工事等の受注が好調である。しかし、今後の受注見込みが減少傾向にあることや、人手不足や資材不足等により、先行きを不安視する声が目立った。

<小売業>地域や業種で差はあるものの、大幅な回復となった小売業

 小売業の業況DIは10ptを超える改善となり、水準も昨年2月を大幅に上回った。食料品関連は、内食向けが好調であり、また、一部で、ネット販売が好調な事業者がいるとの報告があった。衣料品関連は、卒業・入学・入社シーズンが続くことから売上が好調との声もあり、業況が大幅に回復したものの、外出自粛要請等により依然厳しいという声も多かった。耐久消費材関連は、引き続きウイルス対策関連商品に加え、自動車販売業も好調との声があった。業種や地域で差はあるものの、全般的に回復傾向を示すコメントが目立った。

<サービス業> 緊急事態宣言の影響により、引き続き厳しい状況のサービス業

 サービス業の全DIは、大幅に改善し、4ヶ月ぶりに改善に転じたものの、水準は再度の緊急事態宣言前の12月期を脱していない。理美容業は、感染症対策が行き届いているため、客足は戻りつつあるとのコメントがあり、回復傾向にある。宿泊業は、GoToキャンペーンの停止や緊急事態宣言の継続により、予約のキャンセルが相次ぎ、休業状態の事業者もあり、引き続き最悪期の水準にとどまっている。飲食業についても、来店者数の少ない状況は続いており、洗濯業においても、宿泊業からの受注減等により厳しい状況であるとの声が多かった。

全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F
TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997

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