小規模企業景気動向調査
令和4年2月期調査
~感染拡大による需要の低迷、原材料・原油高など経営環境悪化に苦しむ小規模企業景況~
2022年3月30日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2022年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> 感染拡大による需要の低迷、原材料高など経営環境悪化に苦しむ小規模企業景況
2月期の産業全体の業況は、売上額DIが大幅に、それ以外が小幅に悪化し、先月ほど急激ではないが、2ヶ月連続で全DIが悪化となった。オミクロン株の急激な感染拡大により、まん延防止等重点措置等が広い範囲で実施されたことにより、経済活動が大幅に縮小し、幅広い業種に大きなダメージを与えている。また、従業員等の感染により営業の休止を迫られる事業者も増加している。加えて、長引く原材料価格や燃料代の高騰も事業者を苦しめている。
<製造業> 原材料高などの影響で、採算・価格転嫁に苦慮する製造業
製造業は、全DIが悪化となった。売上額・業況DIが大幅、採算・資金繰りDIが小幅な悪化となった。食料品関連は、飲食店向けの業務用商品は需要が低調で、感染拡大の影響で回復の兆しが見られない。また、仕入価格などが高止まりし、採算が厳しい中、価格転嫁が急務となっている。精密機械部品関連は、大手自動車メーカーの生産調整の影響で、部品加工・製造の受注見通しが立たない状況にあるとのコメントがあった。
<建設業> 公共事業で好調も、人手不足や設備等の入手難に苦しむ建設業
建設業は、売上額DIが小幅な悪化となったものの、他のDIは小幅な改善へと転じた。一部の地域で記録的な降雪による除雪作業により売上が増加している事業者もあるなど、年度末の公共事業の需要により、売上は堅調に推移しているものの、従業員確保に苦慮しているとのコメントが目立った。また、住宅関連は、リフォーム需要は堅調も、半導体不足やコロナ禍による工場の休止等により、全般的に設備・機器の納品が遅れ、引き渡し時期が遅延しているとのコメントがあった。
<小売業> 感染拡大による需要の低迷や商品の調達難により、悪化傾向に拍車がかかる小売業
小売業では、売上額・採算DIは大幅、資金繰り・業況DIは小幅な悪化となった。食料品関連は、消費者向けに関しては、巣ごもり需要で堅調を維持しているが、酒類の提供を伴う飲食店向け需要は厳しい状況となっている。耐久消費財関連は、半導体不足に加えコロナ禍で海外の工場が休業するなどの影響で、製品や部品の納期遅れが目立ち、機会損失になっているとの声があった。衣料品関連は、行事の規模縮小や延期によって、需要の低迷傾向が続き、徐々に事業者の資金繰りを悪化させているとのコメントがあった。
<サービス業> 感染拡大による需要の低迷に苦しむサービス業
サービス業は、売上額DIが大幅、それ以外は小幅な悪化となった。宿泊関連は、引き続き、感染者数が高止まりの状況の中、観光客数が減少し業況が悪化している。また、コロナ禍の初期の頃の様に客足が途絶える不安を抱える状況が続いている。理美容関連は、感染状況の悪化に伴い、顧客が予約を先延ばしにするなどにより、客足減となっている。洗濯関連については、原油高の影響に苦しむ中、設備更新が必要な事業者の中には、経営者が高齢な場合、コロナ禍で営業継続が厳しいと判断し、廃業を選択しているケースが多いとのコメントが見られた。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課