小規模企業景気動向調査

令和4年9月期調査

コロナ第7波収束で売上増加も、低採算から脱却できずにいる小規模企業景況

2022年10月28日
全国商工会連合会

<調査概要>

調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2022年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

<産業全体> コロナ第7波収束で売上増加も、低採算から脱却できずにいる小規模企業景況

 9月期の産業全体の業況は、コロナ第7波の収束により売上額DIが大幅に改善し、採算・資金繰り・業況DIが小幅な改善となった。全業種で売上額DIの改善がみられるものの、採算DIは低水準で推移し続けている。急激な円安によるコスト高に対し、価格転嫁が追いついていない、とのコメントもある。行動規制の緩和が続き、好転の兆しが見えつつも、未だ厳しい経営環境・経営状況が続いている。

<製造業> 売上好調も、急激に進む円安で収支のバランスが崩れ、資金繰り計画に苦しむ製造業 

 製造業は、売上額・業況DIが小幅に改善、採算DIがわずかに悪化、資金繰りDIが小幅に悪化した。食料品関連は、3期連続で売上額DI が改善、10月の値上げに向けて駆け込み需要があった、とのコメントが目立つ。繊維関連は、冬物衣料の需要増加及び価格転嫁が進んだことで全DIが改善した。機械・金属関連は、半導体事業が全体を牽引。その一方で、急激に進む円安等の影響で、資金繰りDIがここ1年で最大の悪化を示した。

<建設業> 災害復旧需要により全DI大幅改善も、材料費の高騰や人手不足から不安が残る建設業

 建設業は、全DIが2期連続で改善。他業種と比較して、唯一の大幅改善となった。好調が続く官公需・民間工事や、8月に発生した大雨による災害復旧に加え、新たに9月の台風被害の復旧需要が追い風となった。また、以前よりも原材料の納品が早くなったため、工期遅延が改善されている、とのコメントがあった。一方で、前月同様、原材料・燃料費の高騰や人手不足が続いており、安定しない、などのコメントがみられた。

<小売業> コロナ第7波の収束で売上増も、採算性悪化に歯止めのかからない小売業

 小売業は、売上額DIが大幅に改善、資金繰り・業況DIが小幅に改善する一方で、採算DIがわずかに悪化した。食料品関連は売上額DIが大幅に改善する一方で、採算DIに関しては4期連続の悪化。買い控えを恐れて価格転嫁に踏み切れない、という声が多くみられた。衣料品関連は、売上額DIが大幅改善。コロナ第7波の収束と、秋冬物の需要増から客足が戻り始めた、とのコメントがあった。耐久消費財関連は、売上額DIが大幅に改善。車の需要はあるが、新車生産が追いつかず、中古車価格が高騰し続けている、というコメントが目立つ。

<サービス業>行動制限緩和で売上増加も、原材料高等で低水準が続くサービス業

 サービス業は、売上額DIが大幅に改善、採算DIがわずかに改善、資金繰り・業況DIが小幅に改善した。旅館関連は、前月から引き続き売上・業況DIが大幅改善となり、行動制限緩和による旅行客増加が顕著にみられた。クリーニング関連は、全DIで改善傾向がみられたものの、依然として原油・原材料高の影響を最も受けており採算性が悪い。理・美容は、売上額DIが小幅に改善し、安定してきている。その一方で採算DIが大幅に悪化した。水道光熱費等の経費上昇で利益を圧迫している、とのコメントがあった。

 

全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F
TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997

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