小規模企業景気動向調査
令和5年1月期調査
~コスト高騰と物価高騰による消費者の節約志向から、苦境に立たされる小規模企業景況~
2023年2月22日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2023年1月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> コスト高騰と物価高騰による消費者の節約志向から、苦境に立たされる小規模企業景況
1月期の産業全体の業況は、年末年始のイベント需要が落ち着き、全DIが大幅に悪化した。特に全業種で採算DIが大幅に悪化しており、価格転嫁が追いつかず、コスト高騰が経営を圧迫している。また、物価高騰による消費者の節約志向の影響や、今後の見通しへの不安感と、後継者不足や代表者の高齢化とあいまって廃業を選ぶ事業者も多い、とのコメントがみられた。
<製造業> エネルギー価格や原材料費等のコスト高騰から、採算DIが圧迫される製造業
製造業は、採算DIが大幅に悪化し、売上額・業況DIが小幅に悪化した。燃料価格高騰による電気代等の値上げが採算DIの悪化に繋がっている。食料品関連は、仕入価格やコスト高騰に価格転嫁が追いつかず、全DIが大幅に悪化した。繊維関連は、資金繰り・業況DIがわずかに改善し、売上額DIが小幅に悪化した。機械・金属関連は、資金繰りDIが大幅に改善した。半導体不足が解消され始めたことや、輸出における円安の効果から改善傾向が見られた。
<建設業> コスト高騰と人手不足から採算DIの悪化に苦しむ建設業
建設業は、全DIが大幅に悪化し、特に採算DIは前期より2桁pt超悪化した。売上額DIは前年同時期より改善しているが、採算DIは同時期より悪化しており、コスト高騰が採算性を悪化させている。業界全体として、人手不足による工期延長が売上減少を招いていることや、人件費の底上げの影響もあり、経営改善の見込みが立たない状況に陥っている。
<小売業> 消費者の節約志向から価格転嫁に踏み切れず、コスト高騰に苦しむ小売業
小売業は、全DIが大幅に悪化し、採算・資金繰りDIともに直近1年間の中で最も低い数値であった。物価高騰や電気・ガス代の高騰が消費者を節約志向にさせており、小規模事業者は価格転嫁がしにくい状況となっている。衣料品、食料品関連は全DIが大幅に悪化、一部ではコロナウィルス感染症の落ち着きによる売上改善が見られるものの、コスト負担の増加に価格転嫁が追いついていない。耐久消費財関連は、採算DIが大幅に悪化し、売上額・資金繰りDIが小幅に悪化した。
<サービス業>閑散期による売上減少に加え、コスト高騰に苦しむサービス業
サービス業は、売上額・採算・業況DIが大幅に悪化し、資金繰りDIは小幅に悪化した。旅館関連は、売上額・業況DIが大幅に悪化した。閑散期であることに加え、全国旅行支援の割引率の低下により、以前と比較すると、客数の増加が見込めない状況となっている。クリーニング関連は、コスト増加が止まらず、採算DIが大幅に悪化し、廃業を考える事業者も多い、とのコメントがあった。理・美容関連は、採算・業況DIが大幅に悪化し、特に採算DIは2桁pt超の悪化となった。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課