小規模企業景気動向調査
令和5年2月期調査
~需要回復から明るい兆しが見えるも、採算の低調が続く小規模企業景況~
2023年4月19日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2023年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> 需要回復から明るい兆しが見えるも、採算の低調が続く小規模企業景況
2月期の産業全体の業況は、コロナウイルス感染症の流行も落ち着きがみられ、外国人観光客も増え始めたことから、売上額・採算・業況DIが小幅に改善し、全DIで改善の傾向がみられた。しかし、依然としてエネルギー価格高騰等からのコスト圧迫の影響は続いており、採算DIが低調に推移している。
<製造業> 需要回復への見込みから受注が好調も、採算DIが低迷する製造業
製造業は、売上額DIが大幅に改善し、採算・業況DIが小幅に改善した。物流や品不足が改善され始めたことから売上額DIは改善したが、採算DIは低調に推移している。食料品関連は、全DIが改善し、特に売上額・採算DIが大幅に改善した。旅館へ卸を行っている事業者にて売り上げが好調である、とのコメントがあった。繊維関連は、売上額DIは大幅に改善し、採算DIは小幅に改善した。夏物衣料の需要を見越した受注が増え、回復傾向にある。機械・金属関連は、売上額・業況DIが小幅に改善した
<建設業> コスト高騰に係る価格転嫁への対応で、明暗が分かれる建設業
建設業は、全DIが改善し、採算DIは大幅に改善し、また業況DIが10pt近い改善となった。年度末に向けた受注が好調であることから、売上額DIがプラス水準となった。一方で、業界全体としてコスト高騰分を価格転嫁できているか、否かで業績の明暗が分かれ始めている。一部の事業者での価格転嫁に踏み切れない要因として、消費者や長年関係のある取引先へ与える負担が大きすぎる、とのコメントが見られた。
<小売業> 需要回復の兆しから売上額DIは上向くも、採算DIが低水準で停滞する小売業
小売業は、採算DIは大幅に改善し、売上額・資金操り・業況DIが小幅に改善した。衣料品関連は、採算・資金操り・業況DIは大幅に改善し、売上額DIは小幅に改善した。季節の変わり目における衣料品需要や、価格転嫁が進んでいることなどが、全DIの改善につながった。食料品関連は、売上額・採算・業況DIが大幅に改善した。耐久消費財関連は、採算DIが小幅に改善した一方で、物価高騰により単価の高い商品への買い控えが見られ、売上額・業況DIが小幅に悪化した。
<サービス業>需要は高まるもコスト高騰の影響から、採算の改善までいたらないサービス業
サービス業は、売上額DIは大幅に改善しプラス水準となったが、業況DIはわずかに悪化した。旅館関連は、国内外の観光客が増え続けており、売上額DIは小幅に改善した。一部事業者では旅行割の支援金が振り込みまで1~2か月程度かかるため、資金操りに困っている、とのコメントがあった。クリーニング関連は、コスト高騰の影響から脱せず、業況DIが大幅に悪化し、採算DIは5期連続で悪化している。理・美容関連は、売上額・採算DIが大幅に改善した。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課