小規模企業景気動向調査
令和6年9月期調査
~産業全体の全DIが改善も、消費低迷・コスト高により停滞感が継続している小規模企業景況~
2024年12月4日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2024年9 月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>
産業全体の全DIが改善も、消費低迷・コスト高により停滞感が継続している小規模企業景況
9月期の産業全体の景況は、売上額DIが小幅に上昇した。インバウンドおよび国内需要の回復の影響を受けたサービス業、公共工事を中心に需要が堅調な建設業がけん引したことが、前月比でマイナスのDIがなかった主要因としてあげられる。一方で、全産業において、あらゆるコスト高による停滞感について言及するコメントが継続して多くあり、改善傾向にあるとは言い難い状況である。
<製造業(食料品、繊維、機械・金属)>
コスト高等が継続する中、業種によって業況が分かれる製造業
製造業は、売上額DIが小幅に上昇し、業況DIはわずかに低下した。 食料品・繊維関連は、売上額DIが上昇した。要因として、観光業の好影響を受けたことがあげられる。機械・金属関連は、売上額・採算・業況DIが低下した。厳しい経営状況から、設備投資を控える傾向に関するコメントがある反面、高度な設備を設置している事業者の売り上げが増加傾向にあるとのコメントもあり、難しい局面であることが窺える。
<建設業>
改善傾向から、価格転嫁等の前向きな取り組みを進めていきたい建設業
建設業は、売上額DIが大幅に上昇し、採算・資金繰り・業況DIは小幅に上昇した。 公共工事を中心として需要が堅調であるとのコメントが多かったが、民間工事については減少傾向であるとのコメントも継続して多く、公共工事の受注状況によって事業者の業況が二極化している。前月と比較して、価格転嫁を徐々に進められているとのコメントが増えており、人手不足等の長期的な課題が継続しているものの、前向きな傾向が一部見られた。
<小売業(衣料品、食料品、耐久消費財)>
継続する物価高による消費低迷の影響が強い小売業
小売業は、売上額DIがわずかに低下した。 食料品関連は、売上額DIは増加したが、採算DIは低下した。観光やイベントの回復基調の影響を受けつつも、引き続き価格転嫁に苦慮している状況である。衣料品関連は、横ばい傾向が最も強かった。夏の長い猛暑が複数年続いていることから、仕入れ商品の見直しが重要となっている。耐久消費財関連は、業況DIが低下した。エアコン等の季節物需要の落ち着きから、今後、節約志向の影響を受けることが懸念される。
<サービス業(旅館、クリーニング、理・美容)>
好調な売り上げを価格転嫁に繋げたいサービス業>
サービス業は、売上額・業況DIがわずかに上昇し、採算・資金繰りDIはわずかに低下した。 旅館関連は、売上額・業況DIが上昇した。昨年のシルバーウィークと比較して客数が増加したとのコメントが多かった。クリーニング関連は、全DIが低下した。消費者の嗜好の変化から個人客の需要は低下傾向だが、事業者向けの需要は堅調である。理・美容関連は、全DIが上昇し、他店との差別化を図ることができた事業者の価格転嫁が徐々に進んでいる状況である。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課