小規模企業景気動向調査
令和6年11月期調査
~製造業を中心として、小幅ながらも改善傾向が見え始めた小規模企業景況~
2025年2月10日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2024年11月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>
製造業を中心として、小幅ながらも改善傾向が見え始めた小規模企業景況
11月期の産業全体の景況は、売上額・業況DIが小幅に上昇し、採算・資金繰りDIはわずかに上昇した。多くの業種において、行楽シーズンや年末に向けた需要増加による好影響が見受けられた。また、前年同月比で、採算・資金繰りDIが改善しており、少しずつ価格転嫁が進められている状況が窺える。一方で、コスト高、人手不足等の長期課題に関するコメントは継続して多いため、今後も注視していく必要がある。
<製造業(食料品、繊維、機械・金属)>
全業種において受注の回復が見られた製造業
製造業は、売上額DIが大幅に上昇し、採算・資金繰り・業況DIは小幅に上昇した。 食料品、繊維、機械・金属関連の全業種において、全DIが上昇した。特に、観光業の好影響を大きく受けた食料品関連と、自動車、半導体関連の需要が堅調であった機械・金属関連が大きくDIを上昇させた。また、繊維関連は、物価高による買い控えや人手不足に苦慮しており、取引件数はなんとか維持しているとのコメントが多く見られたが、低下したDIはなかった。
<建設業>
売上の改善傾向が継続する中、採算性・資金繰りの悪化に苦しむ建設業
建設業は、売上額DIが小幅に上昇、業況DIがわずかに上昇し、採算・資金繰りDIはわずかに低下した。例年同様、降雪前および年末に向けた工事受注が堅調で、売上額については好調とのコメントが多かった。一方で、仕入単価の高騰・最低賃金の引上げに伴う採算性の悪化、人手不足による工期の遅れに伴う資金繰りの悪化についてのコメントも継続して多く、DIに反映された状況である。仕入単価等と比較して、人件費の増加に伴う価格交渉は難しい傾向があるとのコメントがあり、要因にかかわらず適正な価格交渉ができる環境の整備が求められている。
<小売業(衣料品、食料品、耐久消費財)>
全DIが改善し、3ヶ月前の水準に近付いた小売業
小売業は、売上額・採算・資金繰りDIがわずかに上昇し、業況DIが小幅に上昇した。衣料品関連は、前年と同様に秋物の動きは鈍かったが、急激な気温低下から冬物の売れ行きが伸び始めたことで、全DIが上昇した。食料品関連も低下したDIはなく、地域行事やイベントの需要を取り込めているかが重要な要素となっている。耐久消費財関連は、自動車販売が好調とのコメントがあり、売上額DIがプラス値に転じた。
<サービス業(旅館、クリーニング、理・美容)>
全DIが改善するも、停滞感が継続するサービス業>
サービス業は、売上額DIが小幅に上昇し、採算・資金繰り・業況DIはわずかに上昇した。旅館関連は、採算DIが低下した。好調な観光地とそれ以外での格差が大きい状況である。クリーニング関連は、前月から一転して全DIが上昇した。各種地域行事の再開、旅行・外出機会の増加に伴う衣替え需要の増加が主な要因である。理・美容関連は、採算・資金繰り・業況DIが低下した。新規顧客の獲得が難しい中、低価格帯の大手への顧客流出を防ぐ手立てが継続して求められている。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課