小規模企業景気動向調査
令和6年12月期調査
~ガソリン補助金の縮小による影響が大きい小規模企業景況~
2025年3月17日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2024年12 月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>
ガソリン補助金の縮小による影響が大きい小規模企業景況
12月期の産業全体の景況は、売上額DIがわずかに上昇し、採算・資金繰り・業況DIはわずかに低下した。一部業種において、年末年始の需要増加の好影響があった一方で、ガソリン補助金の段階的な縮小によるコスト増加の悪影響が大きいとのコメントが多かった。産業全体において、前年同月比で大きく改善したと言えるDIはなく、長引く物価高騰や最低賃金の引上げ等、事業者にとって厳しい1年間だったことが窺える。
<製造業(食料品、繊維、機械・金属)>
前月の改善傾向から一転、足取りが鈍くなった製造業
製造業は、売上額DIがわずかに低下し、採算・資金繰り・業況DIは小幅に低下した。 食料品関連は、前年同月比で全DIが低下した。天候不順による生鮮食品の値上がりから価格転嫁が追い付いていない状況である。繊維関連は、製造業の中で売上額DIが唯一マイナス値であり、消費者の買い控えの影響が他業種と比較して大きいとのコメントがあった。機械・金属関連は、全DIが低下した。引き続き、設備投資による生産性向上に取り組めているかが、事業者の明暗を分けている。
<建設業>
ガソリン補助金の縮小による影響の長期化が懸念される建設業
建設業は、売上額・採算・業況DIがわずかに低下し、資金繰りDIは小幅に低下した。これまでと同様に、受注量は他業種と比較して堅調であることから、比較的ポジティブなコメントが多い傾向である。一方で、ガソリン補助金の縮小による、建設機械や工事車両の燃料コストの高騰について言及するコメントが急増した。既存の工事契約案件において、契約後に価格転嫁をすることは難しく、長期的に利益を圧迫することが懸念されている。
<小売業(衣料品、食料品、耐久消費財)>
継続して改善傾向にあることが窺える小売業
小売業は、売上額DIが大幅に上昇、採算DIは小幅に上昇、資金繰りDIはわずかに上昇し、業況DIはわずかに低下した。売上額・採算・資金繰りDIは3ヶ月連続の上昇となり、他業種と比較すると改善傾向にある。小売業の全業種において、売上額DIが大幅に上昇し、年末年始の需要増加の影響を受けた。消費者の節約志向が高まる中、価格設定や商品戦略に工夫を凝らす事業者が増えているとのコメントがあり、今後もそういった取り組みの重要性が増していくと思われる。
<サービス業(旅館、クリーニング、理・美容)>
徐々に景気が後退しているサービス業
サービス業は、売上額DIがわずかに上昇、資金繰り・採算・業況DIは低下した。また、前年同月比で見ると全DIが低下した。旅館関連は、前年同月比で全DIが低下し、インバウンド需要はあるものの、長引く物価高騰により徐々に苦しい事業者が増えていることが窺える。クリーニング関連は業況DIが、理・美容関連は採算DIが1年間で最低値であった。両業種ともに年末年始の需要が想定以下だった中、ガソリン代の他、石油系の材料の高騰が続き苦しい状況であった。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課