小規模企業景気動向調査
令和7年2月期調査
~大雪や寒波が業種により異なる影響を与えた小規模企業景況~
2025年5月8日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2025年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>
大雪や寒波が業種により異なる影響を与えた小規模企業景況
2月期の産業全体の景況は、売上額・業況DIが小幅に低下、採算DIはわずかに低下し、資金繰りDIは不変であった。大雪や寒波の影響に関するコメントが複数の業種であり、好影響を受けた業種と悪影響を受けた業種で差が広がる結果となった。産業全体として景気改善を図るには、賃上げによる個人消費の回復が必須であり、引き続き価格転嫁に向けた取組みを社会全体で進めていくことが重要である。
<製造業(食料品、繊維、機械・金属)>
継続する停滞感の中、業種による差が広がり始めた製造業
製造業は、採算・資金繰りDIがわずかに上昇し、売上額・業況DIはわずかに低下した。食料品関連は、採算・資金繰りDIが小幅に上昇した。米等の生鮮食品の値上がりについての厳しいコメントが多い一方で、数十年ぶりに値上げをしたところネガティブな反応がなかったというコメントなど、価格転嫁に関する前向きなコメントも継続している。繊維関連は、全てのDIが低下した中、機械・金属関連は、全てのDIが上昇した。電気自動車と半導体需要が堅調とのコメントが継続しており、業種による差が見受けられた。
<建設業>
地域差が見られるものの、改善傾向が継続している建設業
建設業は、売上額・資金繰りDIが小幅に上昇、採算DIは大幅に上昇し、業況DIはわずかに低下した。前月から引き続き、昨年と比較して降雪が続いたことにより、除雪作業を請け負っている事業者は好況であった。全国的に新築工事の需要が低迷している中、公共工事が業界を下支えしている傾向は変わらず、公共工事が減少している地域については厳しい状況とのコメントが多い。また、昨今、全国的にも労災事故の報告が増加している影響から、受注の条件として各種の有資格が求められてきており、受注が制限されることがあるとのコメントがあった。
<小売業(衣料品、食料品、耐久消費財)>
2カ月連続の小幅な悪化により、他業種との差が広がった小売業
小売業は、売上額・採算・業況DIが小幅に低下、資金繰りDIはわずかに低下し、小幅ながらも前月の悪化傾向が継続している。業種別DIにおいても、全業種の全てのDIが低下する結果となった。また、前年同月比でも全業種の全てのDIが低下した。2月は、例年需要の落ち着きが見られる閑散期ではあるが、仕入れ価格やエネルギー価格の上昇による厳しさが継続している中、大雪と寒波の影響で客足が遠のいたことが、暖冬であった前年同月と比較してDIが低下した要因として挙げられる。
<サービス業(旅館、クリーニング、理・美容)>
悪天候の影響を大きく受けたサービス業
サービス業は、売上額DIが大幅に低下、採算・資金繰り・業況DIは小幅に低下した。サービス業についても、小売業と同様に前月比および前年同月比ともに全業種の全てのDIが低下する結果となった。小売業同様、大雪と寒波の影響で予約キャンセルが相次いだなど、客足への悪影響に関するコメントが多かった。インバウンド需要は継続しているものの、個人消費の低迷がそれを上回っている状況である。
全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課