小規模企業景気動向調査

令和5年度3月期調査

人流増加により需要が活性化するも、コスト高騰で持ち直しの動きが鈍い小規模企業景況

2023年5月1日
全国商工会連合会

<調査概要>

調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2023年3月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

<産業全体> 人流増加により需要が活性化するも、コスト高騰で持ち直しの動きが鈍い小規模企業景況

 3月期の産業全体の業況は、アフターコロナに向けた人流の増加から、全DIが改善し、2期連続の改善となった。マスク着用義務がなくなり、催し等が制限なく開催され始めたことや、インバウンド需要が景況感を上向かせた。一方で、需要が活性化していても、コスト高騰が採算を圧迫し続けており、コロナ禍で膨らんだ借入の返済や、人手不足の深刻化等、依然として小規模事業者を取り巻く環境は厳しく、持ち直しの動きは鈍い。

<製造業> 2期連続で全DIが改善するも、コスト高騰により度重なる価格転嫁を迫られる製造業 

 製造業は、2期連続で全DIが改善し、売上額DIは2期連続のプラス水準となった。食料品関連は、全DIが改善し、採算・資金繰り・業況DIは大幅に改善した。需要回復から受注は伸び始めているが、コスト高騰が採算性を圧迫し続けており、価格転嫁交渉に難航する事業者も多いとのコメントが目立った。繊維関連は、全DIが大幅に改善し、特に売上額・業況DIは2桁ポイント改善した。機械・金属関連は、全DIが小幅に改善。売上DIは3期連続プラス水準となった。

<建設業> 人手不足による工期延長とコスト高から、資金繰りが悪化する建設業

 建設業は、年度末の受注増加から売上額DIは小幅に改善し、2期連続のプラス水準となったが、資金繰りDIは小幅に悪化した。人手不足による工期の延長でより多くの人件費が発生し、更に受注から工事が完了し売上が入金するまでの期間も延びる傾向にあり、資金繰りが悪化する負のスパイラルに陥っている。資材やエネルギー価格高騰によるコストの増大と相まって、予断を許さない状況が続いている。

<小売業> 物価高から消費者の購買意欲が高まりきらず、他業種との差が開き始めた小売業

 小売業は、全DIが2期連続の改善となり、売上額・資金繰り・業況DIは大幅に改善。売上額・業況DIは直近1年で最も改善した。コロナ禍に比べると消費は高まりつつも、物価高からの買い控えも一部みられる中、コスト高騰もあり、思うように収益確保ができていない、とのコメントがあった。衣料品関連は、全DIが大幅に改善した。新型コロナウイルス感染症の5類入りが発表された1月頃からファッション需要が高まっている。食料品関連は、売上額・業況DIは小幅に改善したが、採算DIは小幅に悪化した。耐久消費財関連は、全DIが大幅に改善し、特に売上額・採算・業況DIが2桁ポイント改善した。

 

<サービス業>コロナウイルス感染症の落ち着きから人流が増加し、活気を取り戻しつつあるサービス業

 サービス業は、観光客の増加や、コロナ禍で中止していたイベントの再開により、全DIが大幅に改善。売上額DIは2期連続のプラス水準となった。旅館関連は、インバウンド需要が高まり、全DIが大幅に改善した。売上額DIは昨年8月期からプラス水準であり、今期は業況DIもプラス水準となった。クリーニング関連は、全DIが改善し、売上額・採算DIは大幅に改善した。理・美容関連は、卒業式や入学式に向けた需要から、売上額・採算・資金繰りDIは小幅に改善し、業況DIは大幅に改善した。

 

全国商工会連合会 産業政策部 産業政策課

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F
TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997

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