小規模企業景気動向調査

令和5年度8月期調査

～前年から改善は続くも、コスト高と酷暑の影響から足踏み状態の小規模企業景況～

2023年9月25日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員
調査時点：2023年8月末
調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ 前年から改善は続くも、コスト高と酷暑の影響から足踏み状態の小規模企業景況

　8月期の産業全体の業況は、全DIが悪化し、売上額・採算・資金繰りDIは小幅に悪化、業況DIは大幅に悪化した。経済活動はコロナ禍前に戻りつつあるものの、酷暑や物価高が妨げとなり需要が伸び切らず、足踏み状態となっている。コスト高による利益の圧迫が続き事業者からの融資相談の深刻さが増している、条件変更の相談も多くなっている、との厳しいコメントも見られた。

＜製造業＞ 原材料供給の不安定さから、稼働率が悪化している製造業　

　製造業は、売上額・業況DIが大幅に悪化し、資金繰りDIが小幅に悪化した。食料品関連は、売上額DIが小幅に悪化、業況DIは大幅に悪化した。酷暑による作物不良で原材料の供給に影響が出ている。繊維関連は、採算DIが大幅に改善したが、売上額DIは小幅に悪化した。仕入れ単価の上昇が緩やかになり始めたが、需要に頭打ち感がある、とのコメントがあった。機械・金属関連は、全DIが大幅に悪化し、売上額・業況DIはともに2桁ポイント悪化した。鉄鋼材等の高騰や一部部品不足で完成品の生産が困難、受注が減り取引先に依頼し仕事を確保している状況、とのコメントがあった。

＜建設業＞ 人手不足の厳しさが増し、職人・下請け業者を取り合う建設業

　建設業は、売上額・採算・業況DIがわずかに改善した。猛暑からエアコン工事やリフォーム受注が増加、豪雨災害の復興特需も発生した。一方、天候不良で工事の中断が続いたことによる工期延長や、復旧工事に人員が分散されることで人手不足が加速する等の問題も発生している。また業界全体が抱える課題として、労働法制の遵守から、工事条件は従来同様で労働時間のみ削減となり、下請事業者へのしわ寄せが発生している、とのコメントがあった。

＜小売業＞ 業種の好不況を酷暑が左右する小売業

　小売業は、売上額・採算・業況DIがわずかに悪化した。コスト高騰の影響は続いているが、一部業種ではイベント需要等での売上が回復している。衣料品関連は、依然として酷暑から秋物の動きが悪く、売上額・採算が小幅に悪化、業況DIが大幅に悪化した。食料品関連は、お盆期間での利用客の増加から、全DIが改善し、採算・資金繰りDIが小幅に改善した。耐久消費財関連は、原油価格高騰で仕入れ価格が上昇しており、売上額DIが小幅に悪化、採算DIが大幅に悪化した。

 

＜サービス業＞エネルギー価格等のコスト高で、採算悪化が顕著なサービス業

　サービス業は、全DIが悪化し、資金繰り・業況DIが小幅に悪化、採算DIが大幅に悪化した。バカンスシーズンではあるものの、酷暑で客足が伸びなかった。旅館関連は、インバウンド需要を中心に、売上額DIはわずかに改善した一方で、採算DIが大幅に悪化。エネルギー価格に加え、食材の値上がり等もコスト増加の一端となっている。クリーニング関連は、全DIが悪化し、採算・資金繰り・業況DIが大幅に悪化。理・美容関連は、全DIが悪化し、特に採算DIが大幅に悪化した。

 

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