小規模企業景気動向調査
平成25年5月期調査
~製造業が悪化に転じたが、全般に小幅な回復基調が続く小規模企業景況~
2013年6月26日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年5月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…製造業が悪化に転じたが、全般に小幅な回復基調が続く小規模企業景況…◇
5月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同 月比)は、▲16.0ptで前月から1.1pt改善した。製造業は原材料価格高騰などの影響で悪化に転じたものの、全体的には緩やかな回復基調が続いてい る。金融円滑化法終了後一カ月が経過したが、運転資金や借換えなど後ろ向きの金融相談が多い一方で、新事業への取組みや創業に関する相談も増加している。 一部では金融機関の貸出態度が非常に慎重になっているとの報告が聞かれた。
<製造業> ◇…原材料価格高騰の影響が顕著になり、悪化に転じた製造業…◇
製造業DIは▲17.8ptで、2.5ptの悪化となった。食料品関連は、小麦や食用油などの価格が高騰し採算が悪化している。また、繊維関連で は、受注単価の低下に加え、糸や布など輸入している材料の価格があがり利益がでない状況となっている。鉄工関連でも、受注は増加しているものの、鋼材の仕 入価格の上昇で採算に苦しむケースがみられた。機械金属関連は、受注があるが単発のものばかりで、一方、自動車関連は引き続き好調で、下請け企業にも親会 社の好調が波及し受注が増加している。
<建設業> ◇…消費増税前の駆け込み需要で、住宅関連を中心に好調な建設業…◇
建設業DIは2.7ptで、3.7ptの改善となった。住宅関連は、消費税率引上げを見据えて、新築やリフォームの受注が増加傾向で、引き続き好 調である。公共工事関連は、通年であれば発注が減少する時期であるが、一部では土木工事などが増加している。災害対策工事や道路改修工事、老朽化した建物 の改築工事の受注がみられるとの報告も聞かれた。今後、職人不足による人件費の上昇や受注機会の喪失などの影響が更に顕著になる懸念があるとの報告が聞か れた。
<小売業> ◇…消費マインドの改善の兆しはあるが、依然として厳しい小売業…◇
小売業DIは▲28.5ptで、2.3ptの改善となった。家電関連では、気温の上昇と消費税率引上前の駆け込み需要でエアコンの動きが出始めて いる。食料品関連でも、気温の上昇に伴い、飲料の売上が伸びたケースが聞かれた。反面、衣料品関連では、例年よりも気温の上昇が遅かったため、夏物の動き 出しが鈍かった。一部で消費マインドが持ち直しつつあるとの報告が聞かれるが、全般には、量販店やネット通販などとの価格競争、仕入価格の上昇など小売店 の経営環境は依然厳しい。
<サービス業> ◇…季節要因で明るい兆しはあるものの、伸び悩むサービス業…◇
サービス業DIは▲20.4ptで、1.2ptの改善となった。宿泊関連は、GWの後半も天気に恵まれ観光客が増加し好調であった。理美容業は、暖かくな り外出機会が増えたことで、少し売り上げが増加した。日頃は自宅で散髪している子供の来店が増え、客単価は低下したが売上は増加したというケースも聞かれ た。クリーニング業は、冬物や布団類に動きがあり売上が増加したものの、洗剤やハンガーの仕入価格が上昇し、採算が厳しい。