小規模企業景気動向調査
平成25年8月期調査
~回復基調が続くも、足踏み懸念を払拭できない小規模企業景況~
2013年9月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年8月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…回復基調が続くも、足踏み懸念を払拭できない小規模企業景況…◇
8月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額、採算および業況DI(景 気動向指数・前年同月比)は多少改善し、資金繰りDIは若干悪化した。経営指導員から、製造業で、生産効率の向上や経費節減のための積極的な設備投資を行 うなど景気の好転を示す報告があった。また、全業種で景気回復の兆しは感じつつあるが、原材料や原油の価格高騰、電気料金の値上げなど経費の増加が影響し て、本格的な景気回復の実感は得られていないとの報告があった。
<製造業> ◇…受注は堅調だが、原材料価格高騰の影響で足踏み状態の製造業…◇
製造業は、売上額、採算および業況DIは多少改善し、資金繰りDIは若干悪化した。経営指導員から、好転材料としては、1.自動車関連や工作機械 関連で、受注が増加しており好調である、2.建設機械関連で、年度末までの増産が決定し多忙な事業所があるなどの報告があった。また、悪化材料としては、 1.食料品関連で、小麦粉や乳製品など原材料価格が高騰して採算が取れない、2.原油価格の高騰や電気料金の値上げにより、経費が増加し採算が取れないな どの報告があった。
<建設業> ◇…消費増税前の駆け込み需要や災害復旧工事などで好調な建設業…◇
建設業は、採算および業況DIは大幅な改善、売上額および資金繰りDIは小幅な改善となった。経営指導員から、好転材料としては、1.住宅関連 で、消費増税前の駆け込み需要により、引き続き増改築などの受注が好調である、2.公共工事で、豪雨災害復旧工事の発注が増加したなどの報告があった。ま た、悪化材料としては、職人不足による影響で、1.労務費が上昇して採算が取れない、2.受注機会を逃したなどの報告があった。
<小売業> ◇…猛暑の影響で業種ごとの明暗が分かれた小売業…◇
小売業は、売上額DIは若干改善し、採算、資金繰りおよび業況DIは多少悪化した。経営指導員から、好転材料としては、猛暑の影響で、引き続き飲 料水やアイス、エアコン、扇風機の売れ行きが好調であったとの報告があった。また、悪化材料としては、1.衣料品関連で、猛暑で消費者が外出を控えたた め、顧客の足が遠のき売上が低下した、2.食料品関連で、小麦粉や生鮮品などの仕入価格の上昇により採算が取れないなどの報告があった。
<サービス業> ◇…本格的な夏の行楽シーズンを迎え、観光・宿泊業を中心に堅調なサービス業…◇
サービス業は、売上額および業況DIは若干改善し、採算および資金繰りDIは多少悪化した。経営指導員から、好転材料としては、1.宿泊関連で、本格的な 夏のレジャーシーズンに入り、海水浴客や観光客の客足が伸び売上が増加した、2.理美容業で、猛暑の影響で、散髪する回数が増え客数が増加したなどの報告 があった。また、悪化材料としては、1.クリーニング業で、クールビズの普及で家庭で洗濯する顧客が増え売上の減少につながっている、2.自動車整備業 で、ガソリン価格の高騰により、代車に係る経費が増え収益を圧迫しているなどの報告があった。