小規模企業景気動向調査
平成25年9月期調査
~回復から足踏み状態に転じた小規模企業景況~
2013年10月29日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…回復から足踏み状態に転じた小規模企業景況…◇
9月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の資金繰りDI(景気動向指数・前 年同月比)は若干改善したものの、売上額および業況DIは若干悪化し、採算DIは不変であった。経営指導員から、1.建設業など一部の業種では景気回復の 兆しが感じられるものの、地域全体には及んでいない、2.金融機関の貸出態度は、一部でやや慎重な姿勢がみられ、詳細な資料を提出させ、貸出先の経営状況 を綿密に調査する傾向がみられたなどの報告があった。
<製造業> ◇…原材料価格高騰の影響はあるが、好調な受注に支えられ持ち直した製造業…◇
製造業は、資金繰りDIは若干改善し、売上額、採算および業況DIは小幅な改善となった。経営指導員から、好転材料としては、1.自動車関連で、 安定した受注があり引き続き好調である、2.機械製造関連で、海外向けの工作機械や繊維機械などの受注が増加しているなどの報告があった。また、悪化材料 としては、1.下請けの金属加工関連で、親会社の生産量削減の影響を受け、受注が大幅に減少した、2.燃料費や電気料金、原材料費の値上げにより収益が圧 迫されているなどの報告があった。
<建設業> ◇…依然好調も、資材価格高・職人不足が採算に影を落とす建設業…◇
建設業は、売上額DIは大幅に改善し、資金繰りDIは小幅に改善したものの、採算および業況DIは不変であった。経営指導員から、好転材料として は、1.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要もあり、戸建てやリフォームなどの受注が引き続き堅調で、極めて小規模な事業者においても受注が増加してい る、2.公共工事で、災害復旧工事や道路建設工事の発注が増加し多忙となっているなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.生コンクリートや材木 の仕入価格が上昇し収益を圧迫している、2.職人不足のため工期が遅れているなどの報告があった。
<小売業> ◇…大型量販店などに押され悪化傾向の小売業…◇
小売業は、売上額DIは大幅に悪化し、採算、資金繰りおよび業況DIは多少悪化した。経営指導員から、好転材料としては、残暑の影響で、1.引き 続きエアコンや冷蔵庫の売れ行きが好調であった、2.エアコンの修理工事の受注が増加したなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.食料品関連や 衣料品関連の小規模小売店で、コンビニや大型量販店などの価格攻勢に太刀打ちできず売上が減少している、2.衣料品関連で、残暑が厳しかったため、秋物の 売上が減少したなどの報告があった。
<サービス業> ◇…燃料・原材料価格の高騰に苦しみ、悪化に転じたサービス業…◇
サービス業は、売上額、採算および業況DIは若干悪化したものの、資金繰りDIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、宿泊関連で、連休が月 に2回あったことから観光客の客足が伸び売上が増加したとの報告があった。また、悪化材料としては、1.理容業で、顧客の節約志向が根強く、自宅で散髪す る客が増えたため来店頻度が低下している、2.飲食関連で、小麦粉など原材料の仕入価格が上昇して採算が取れない、3.運輸関連で、ガソリン価格の高騰により採算が取れないなどの報告があった。