小規模企業景気動向調査

平成25年10月期調査

～全業種で改善となった小規模企業景況～

2013年11月28日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員

調査時点：2014年10月末

調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ ◇…全業種で改善となった小規模企業景況…◇

　 10月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額、採算、資金繰りおよび 業況DI（景気動向指数・前年同月比）はいずれも小幅な改善となった。経営指導員から、1.太陽光発電の設置などを目的とした借入相談が増加している、 2.製造業を中心に、新規機械の導入など前向きな設備投資がみられた、3.小売業で冬の商戦に向けた活発な動きがみられるなど、好調が続く建設業だけでな く、他の業種においても景気回復の兆しが感じられるなどの報告があった。

＜製造業＞　◇…好調な受注に支えられ、改善傾向が続く製造業…◇

　製造業は、採算、資金繰りおよび業況DIは多少改善し、売上額DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、1.自動車関連で、販売台 数増加の影響で、受注が増加しており好調である、2.建設機械関連で、公共工事や住宅建築工事が増加しているため多忙である、3.電気機械関連で、スマー トフォン部品の受注が増加しているなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.繊維関連で、生産拠点の海外移転で受注が減少したため、人員の削減や 廃業を検討する企業がある、2.食料品関連を中心に業種全般で、原材料費や燃料費の高騰分を商品に価格転嫁できず採算が取れないなどの報告があった。

＜建設業＞　◇…公共工事の発注の増加や消費増税前の駆け込み需要で、依然好調な建設業…◇

　建設業は、売上額、採算および業況DIは大幅に改善し、資金繰りDIは小幅な改善となった。経営指導員から、好転材料としては、1.公共工事で、 河川整備工事や公共施設の耐震工事など発注が増加し好調であった、2.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要により、新築やリフォームの受注が引き続き堅 調で、設備工事などの下請業者にも波及している、3.土木工事で水害復旧の受注が増加しているなどの報告があった。また、悪化材料としては、職人不足で受 注に対応できないケースや、人件費が増加し採算が取れないケースがみられたとの報告があった。

＜小売業＞　◇…消費増税前の駆け込み需要や消費マインドの回復により、持ち直した小売業…◇

　小売業は、売上額および業況DIは大幅に改善し、採算および資金繰りDIは小幅な改善となった。経営指導員から、好転材料としては、1.一部地域 で、消費増税前の駆け込み需要により、自動車や家電製品などの高額商品に動きがあった、2.食料品関連で、売上が増加し、消費者の購買意欲に改善の兆しが みられる、3.家電関連や食料品関連で、プレミアム付商品券の効果で売上が増加したなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.食料品関連で、野 菜、油、大豆などの仕入価格の上昇により収益が圧迫されている、2.衣料品関連で、暖かな陽気が続き、秋・冬物が動かなかったことや、通信販売に押され売 上が減少したなどの報告があった。

＜サービス業＞　◇…一部の業種で明るい動きがみられたサービス業…◇

　 サービス業は、売上額、採算および業況DIは多少改善したものの、資金繰りDIは若干悪化した。経営指導員から、好転材料としては、1.宿泊関連で、工事 関係者の滞在やビジネス利用客の増加により売上が増加した、2.不動産関連で、住宅建築関連の発注が好調で多忙であるなどの報告があった。また、悪化材料 としては、1.飲食関連で、小麦粉や卵など食材の仕入価格が上昇しているため採算が取れない、2.自動車整備関連で、ハイブリッド車や電気自動車の整備が できない工場では、客数が減少し売上が低下しているなどの報告があった。