小規模企業景気動向調査
平成25年12月期調査
~引き続き、緩やかな回復基調も、一服感がある小規模企業景況~
2014年1月28日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年12月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…引き続き、緩やかな回復基調も、一服感がある小規模企業景況…◇
12月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額および採算DI(景気動 向指数・前年同月比)は小幅に改善し、資金繰りおよび業況DIはわずかに改善した。経営指導員から、一部地域で、老朽化した設備の入れ替えや受注増加に対 応するための新規設備の導入など、設備投資の相談が増加しているとの報告があった。また、自動車関連を中心に受注が増加している製造業と、消費増税前の駆 け込み需要で活況な建設業は好調であるが、サービス業までは波及せず、景気回復の実感はまだ得られていないとの報告があった。
<製造業> ◇…引き続き好調であるが、原材料費・燃料費の高騰などで足踏み状態となった製造業…◇
製造業は、採算、資金繰りおよび業況DIは多少改善したものの、売上額DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、1.自動車関連 で、販売台数が増加しており引き続き受注が好調である、2.食料品関連で、年末商戦に向け、受注や売上が増加したなどの報告があった。また、悪化材料とし ては、1.機械・金属関連で、発注単価の引き下げや、原油価格、燃料代の高騰で採算が取れない、2.食料品関連で、大豆や野菜などの原材料価格が引き続き 上昇しており、採算が取れないなどの報告があった。
<建設業> ◇…公共・民間工事ともに依然好調であるが、一服感が見られ始めた建設業…◇
建設業は、採算および資金繰りDIはわずかに改善したものの、業況DIは小幅に悪化し、売上額DIは不変であった。経営指導員から、好転材料とし ては、1.公共工事で、高速道路関連や下水道改修工事などの発注が増加し依然好調である、2.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要により、新築などの受 注が堅調で、引き続き繁忙であるなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.職人や建築資材が依然不足しており、外注費や材料費が高騰し採算が取れ ない、2.一部地域で、消費増税前の駆け込み需要が一段落した感があるなどの報告があった。
<小売業> ◇…年末年始の消費など、一部に明るい動きがあり改善が続く小売業…◇
小売業は、売上額DIは大幅に改善し、採算、資金繰りおよび業況DIは多少改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.消費増税前の駆け込 み需要により、自動車や冷蔵庫、テレビなどの家電製品の売上が増加した、2.食料品関連で、一部地域で、年末年始の消費により売上が増加した、3.お歳暮 など贈答品の売れ行きが好調であったなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.衣料品関連で、気温が高かった地域で、冬物衣料の動きが鈍かった、 2.食料品関連で、食用油や小麦粉など原材料価格の上昇が続いているため、収益が圧迫されているなどの報告があった。
<サービス業> ◇…消費者の節約志向などの影響で、足踏み状態が続くサービス業…◇
サービス業は、売上額DIは小幅に改善、資金繰りDIは小幅に悪化し、採算および業況DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、1.宿泊関 連で、年末年始の客室稼働率が高く好調で、ビジネス向け施設では工事業者等の利用も好調だった、2.飲食関連で、忘年会などの宴会利用が増え、売上が増加 したなどの報告があった。また、悪化材料としては、クリーニング業、理美容業で、消費者の節約志向が根強く、依然として厳しい状況であるとの報告があった。