小規模企業景気動向調査

平成26年1月期調査

～緩やかな回復基調から、４か月ぶりの悪化となった小規模企業景況～

2014年2月26日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員

調査時点：2014年1月末

調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ ◇…緩やかな回復基調から、４か月ぶりの悪化となった小規模企業景況…◇

　 1月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額、採算、資金繰りおよび業 況DI（景気動向指数・前年同月比）は多少悪化した。業況ＤＩの悪化は4か月ぶり。経営指導員から、建設業を中心に、一部業種は好調なものの、全体的には 景気回復の実感を得られていないとの報告があった。また、消費増税前の駆け込み需要による好影響がみられるとの報告が多かった反面、建設業を中心に、駆け 込み需要の反動による受注の減少を懸念する報告もあった。

＜製造業＞　◇…費用の増加に苦しみ、足踏み状態が続く製造業…◇

　製造業は、売上額、採算、資金繰りおよび業況DIは多少悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.食料品関連で、原材料価格の上昇を製品 価格に転嫁できず、採算が取れない、2.電気代や燃料費、原油価格上昇が収益を圧迫しているなどの報告があった。また、好転材料としては、1.自動車関連 で、消費増税前の駆け込み需要により、販売台数が引き続き増加し受注が好調である、2.機械製造関連や建設機械関連で、受注が増加し多忙となっているなど の報告があった。 


＜建設業＞　◇…依然好調も、職人や建築資材不足の影響で採算が悪化し、一服感が見られる建設業…◇

　建設業は、業況DIは多少改善したものの、採算DIは若干悪化し、売上額および資金繰りDIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、 1.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要により、新築などが依然好調である、2.一部地域で、積雪が例年より少なく工期が計画どおりに進み、利益を確保 できているなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.職人や建築資材の不足で、依然として、労務費や材料費、下請け工賃などが高騰し収益を圧迫し ている、2.除雪作業を請け負う業者で、雪が少ないため売上が減少しているなどの報告があった。

＜小売業＞　◇…費用の増加や消費の低迷・大型店との競争など、依然として経営環境が厳しい小売業…◇

　小売業は、売上額および資金繰りDIは大幅に悪化し、採算および業況DIは小幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.食料品関連 で、野菜など仕入価格の上昇で採算がとれない、2.消費不振や大型量販店への顧客流出など、引き続き経営環境が厳しく売上が減少している、3.燃料販売店 で、仕入価格が高騰し採算が取れないなどの報告があった。また、好転材料としては、1.消費増税前の駆け込み需要により、自動車や白物家電の売上が増加し た、2.一部地域では、寒さにより、アウターなどの防寒着の動きが良かったなどの報告があった。

＜サービス業＞　◇…消費者の志向変化などの影響で、悪化に転じたサービス業…◇

　サービス業は、売上額DIは大幅に悪化し、採算、資金繰りおよび業況DIは多少悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.飲食関連では、酒離れの 影響があり、利益の確保が難しい、2.宿泊業は高熱費の高騰により経費が嵩み収益を圧迫している、3.理美容関係は、固定客の高年齢化で来店回数が落ち込 んでいるなどの報告があった。また、好転材料としては、1.宿泊関連で、一部地域で、工事関係者の利用が増加し売上が増加した、2.飲食関連で、正月や新 年会などで客数が増加したなどの報告があった。