小規模企業景気動向調査
平成26年3月期調査
~消費増税前の駆け込み需要で、大幅に改善した小規模企業景況~
2014年4月30日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年3月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…消費増税前の駆け込み需要で、大幅に改善した小規模企業景況…◇
3月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の資金繰りDI(景気動向指数・前 年同月比)は小幅に改善、採算、および業況DIは大幅に改善、また、売上額DIは前月から11.6ptの改善を示した。製造業、小売業、サービス業で売上 額DIが10pt以上改善したが、経営指導員からは、消費増税前の駆け込み需要による一時的なもので、景気の回復を実感するには至らないとの報告があった。また、消費増税後の反動を懸念し、先行きを不安視する報告が多かった。
<製造業> ◇…消費増税前の駆け込み需要により持ち直した製造業…◇
製造業は、資金繰りおよび業況DIは小幅に改善、採算DIは大幅に改善し、売上額DIは前月から12.5pt改善した。経営指導員から、好転材料 としては、1.自動車関連で、消費増税前の駆け込み需要による販売台数増加の影響を受け、引き続き受注が好調である、2.精密機器関連や建設機械・資材関 連で、消費増税前の駆け込み需要により受注が増加し好調であったなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.食品関連で、引き続き小麦粉などの原材料価格が上昇し採算が取れない、2.電気代やガス代、燃料費の値上げにより収益が圧迫されているなどの報告があった。
<建設業> ◇…公共・民間工事共に引き続き好調だが、人材不足・資材高に苦しむ建設業…◇
建設業は、資金繰りおよび業況DIは多少悪化したものの、売上額および採算DIは多少改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.公共工事 関連で、年度末の需要期で、土木工事やインフラ整備工事などの発注が好調であった、2.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要により、引き続き受注が好調 で多忙となっているなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.依然、職人不足が続いており、工期の遅れから資金繰りが悪化した事例があった、2. 建築資材などの材料費が値上がりし、コスト負担が増しているなどの報告があった。
<小売業> ◇…消費増税前の駆け込み需要により好調、売上が大幅に改善した小売業…◇
小売業は、資金繰りDIは大幅に改善し、売上額DIは20.7pt、採算DIは13.5pt、業況DIは12.1ptそれぞれ改善した。経営指導員から、好転材料としては、消費増税前の 駆け込み需要により、自動車、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、洗剤やゴミ袋などの日用品、日持ちする食料品の売上が増加したとの報告があった。また、悪化材料としては、大型店やコンビニへの顧客流出に歯止めがかからず、売上不振などを理由に廃業した事業所が見られたとの報告があった。
<サービス業> ◇…春の行楽シーズンや消費増税前の駆け込み需要の影響を受け、改善したサービス業…◇
サービス業は、採算、資金繰りおよび業況DIは大幅に改善し、売上額DIは前月から12.4pt改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.自動車 整備関連で、消費増税前の駆け込み需要で、整備点検の需要が増加した、2.クリーニング業で、気温の上昇などに伴い冬物のクリーニングが増加した、3.宿 泊関連で、年度末の需要期で工事関係者による利用や、春の行楽シーズンで観光客が増加し好調であったなどの報告があった。また、悪化材料としては、理美容業で、依然として消費者の節約志向が根強く、低価格店への顧客流出や利用頻度の低下により売上が低下しているなどの報告があった。