小規模企業景気動向調査
平成26年4月期調査
~回復基調から一転、全業種で大幅に悪化した小規模企業景況~
2014年5月26日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年4月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…回復基調から一転、全業種で大幅に悪化した小規模企業景況…◇
4月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の採算、資金繰り、業況DI(景気動向指数・前年同月比)は大幅に悪化、また、売上額DIも前月から 32.3ptの悪化を示した。全業種の業況DIが悪化したのは1年6カ月ぶり。消費増税の影響により、全業種のDIが大幅に悪化し、経営指導員からは、駆 け込み需要の反動がいつまで続くのか、今後の消費の動向を懸念する報告があった。
<製造業> ◇…消費増税前の駆け込み需要の反動により受注が減少し、悪化に転じた製造業…◇
製造業の売上額、採算、資金繰りおよび業況DIは、いずれも大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.機械・金属関連で、消費増税 前の駆け込み需要の反動で受注が減少した、2.繊維関連で、原油価格の高騰や電気代の値上げにより収益が圧迫されている、3.食品関連で、原材料価格の高 騰により採算が取れないなどの報告があった。また、好転材料としては、自動車関連で、販売台数増加の影響を受け、引き続き受注が好調であるとの報告があっ た。
<建設業> ◇…消費増税前の駆け込み需要の反動減やコスト増に苦しむ建設業…◇
建設業は、採算および資金繰り DIは大幅に悪化、また、売上額DIは前月から35.7pt、業況DIは30.4ptと極めて大幅な悪化を示した。経営指導員から、悪化材料としては、 1.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要の反動で受注が減少した、2.依然、資材費や人件費が高騰しており、採算が取れないなどの報告があった。また、 好転材料としては、1.公共工事関連で、引き続き、土木工事などの発注が増加している、2.住宅関連で、消費増税前の駆け込み需要の受注残があり、引き続 き多忙となっているなどの報告があった。
<小売業> ◇…消費増税前の駆け込み需要の反動により、売上が大幅に悪化した小売業…◇
小売業は、資金繰りDIは大幅 に悪化、また、売上額DIは前月から50.5pt、採算DIは34.1pt、業況DIは37.0ptと、それぞれ極めて大幅な悪化を示した。経営指導員か ら、悪化材料としては、1.消費増税前の駆け込み需要の反動で、自動車や電化製品、衣料品などの売上が減少した、2.食品関連で、消費増税の影響で買い控 えが見られ、客単価が低下しているなどの報告があった。また、好転材料としては、家電販売関連で、消費増税前の駆け込み需要に商品の供給が追いつかなかっ たため、増税後も引き続き好調となっているケースがあったとの報告があった。
<サービス業> ◇…消費増税による節約志向の影響で悪化したサービス業…◇
サービス業の売上額、採算、資金繰りおよび業況DIは、いずれも大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.飲食関連で、消費増税を受け利用 を控える傾向が見られ、来店客数が減少し売上が低下した、2.クリーニング業で、原油価格の高騰や洗剤などの資材費の値上がりで、コスト負担が増加してい るなどの報告があった。また、好転材料としては、1.理美容業で、入学式などの需要期で売上が増加した、2.宿泊関連で、歓迎会など宴会の利用が増え、売 上が増加したなどの報告があった。