小規模企業景気動向調査
平成26年5月期調査
~一部で改善が見られたものの、全体では若干悪化した小規模企業景況~
2014年6月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年5月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…一部で改善が見られたものの、全体では若干悪化した小規模企業景況…◇
5月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額および資金繰りDI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに改善したものの、採算及び業況DIはわ ずかに悪化した。好調を維持していた建設業では、売上額DIが1年2か月ぶりにマイナスとなるとともに、経営指導員からは、消費増税の影響により個人消費 が落ち込んでいるとの報告があった。
<製造業> ◇…受注はあるが、燃料費・原材料費などコストの増加に苦しむ製造業…◇
製造業では、売上額DIは大幅に改善、また、資金繰りおよび業況DIは多少改善したものの、採算DIはわずかに悪化した。経営指導員から、好転材 料としては、1.自動車関連で、生産台数の増加により引き続き受注が好調であった、2.金属加工関連で、鉄道や造船、医療関連の受注が増加しているなどの 報告があった。また、悪化材料としては、1.食品関連で、消費増税による買い控えから売上高が低下している、2.原材料価格の上昇、電気料金の値上げなど コスト負担の増加により、採算が取れないなどの報告があった。
<建設業> ◇…消費増税前の駆け込み需要の反動により、受注が落ち込んだ建設業…◇
建設業では、業況DIは大幅に悪化、また、売上額、採算および資金繰りDIは小幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.住宅建築関 連やリフォーム関連で、駆け込み需要の反動で受注が減少している、2.職人不足により、人件費が増加し採算が取れないケースや、受注を見送るケースがあっ た、3.材料不足や消費増税により資材価格が上昇し、収益が圧迫されているなどの報告があった。また、好転材料としては、公共工事関連で、土木工事や災害 の復旧工事の発注が増加しているとの報告があった。
<小売業> ◇…一部で明るい動きがあるも、全般に消費増税による影響が残る小売業…◇
小売業は、売上額、採算 および資金繰りDIは多少改善したものの、業況DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、食品関連において、一部地域で、消費増税前の水準 まで客数が回復してきているとの報告があった。また、悪化材料としては、1.駆け込み需要の反動や、消費増税による消費低迷の影響で、自動車などの耐久消 費財や衣料品の売上高が減少している、2.大型店の進出など経営環境が厳しく、消費増税後も販売価格を据え置いたため、収益が減少しているケースがあった などの報告があった。
<サービス業> ◇…大型連休があり若干改善したものの、コスト高が響き伸び悩むサービス業…◇
サービス業は、採算および資金繰りDIは多少改善したものの、売上額および業況DIは不変であった。経営指導員から、好転材料としては、1.宿泊関連で、 大型連休で客足が伸び、売上高が増加した、2.飲食関連で、年度が替わって会合などの利用増加により売上高が増加したなどの報告があった。また、悪化材料 としては、1.クリーニング業で、燃料費や材料価格などのコストが増加し、採算が悪化している、2.運送関連で、ガソリン価格の高騰により、収益が圧迫さ れているなどの報告があった。