小規模企業景気動向調査
平成26年8月期調査
~前月から一転、全業種で悪化した小規模企業景況~
2014年9月24日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年8月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…前月から一転、全業種で悪化した小規模企業景況…◇
8月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の資金繰りDI(景気動向指数・前年同月比)は小幅に悪化、また、売上額、採算および業況DIは大 幅に悪化した。業況DIの▲25.7ptは、消費増税後、最も低い水準である。経営指導員からは、1.夏の行楽シーズンであったが、小売業・観光関連業 は、天候不順の影響で悪化している、2.消費増税後の落ち込みからの回復が期待されたが、未だ景気回復の実感を得るまでには至らないとの報告があった。
<製造業> ◇…燃料費や原材料費の高騰が続き、悪化を示した製造業…◇
製造業の売上額、採算、資金繰りおよび業況DIは、大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.燃料費の高騰や電気代の上昇により、 コストが増加し収益が圧迫されている、2.食品関連で、大雨の影響で野菜の仕入価格が高騰し、採算が取れない、3.繊維関連で、受注量が減少し、売上額が 低下しているなどの報告があった。また、好転材料としては、自動車関連部品、機械部品及び建設資材関連で受注が増加しているとの報告があった。
<建設業> ◇…受注の減少やコスト高などの影響で、厳しい状況となった建設業…◇
建設業は、資金繰りおよび業況DIは小幅に悪化、また、売上額および採算DIは大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.建築関連 で、消費増税前の駆け込み需要の反動により受注が減少している、2.人件費や資材価格の高騰が止まらず、収益が圧迫されているなどの報告があった。また、 好転材料としては、1.一部地域で、災害復旧工事など土木工事の受注が増加している、2.住宅リフォームの受注が増加しているとの報告があった。
<小売業> ◇…天候不順や消費増税の影響が続き、悪化に転じた小売業…◇
小売業は、資金繰りDIは若干悪化、また、売 上額、採算および業況DIは大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.衣料品関連で、大雨の影響により、夏物の動きが不調で売上額が減少し た、2.食品関連で、大雨の影響による価格上昇から、野菜の売上額が減少した、3.自動車関連で、消費増税の影響で売上額が減少しているなどの報告があっ た。また、一部に消費増税の駆け込み需要の反動が和らいできている旨の報告もあったが、総じて、好転を示す報告は少なかった。
<サービス業> ◇…大雨の影響などにより、宿泊・観光関連を中心に悪化したサービス業…◇
サービス業の売上額、採算、資金繰りおよび業況DIは、小幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.宿泊・観光関連で、大雨の影響でキャンセ ルが相次ぎ、売上額が減少した、2.理美容業で、低価格店の増加により、顧客が奪われ売上額が減少している、3.飲食関連で、消費増税分を価格に転嫁でき ず、収益が減少しているなどの報告があった。また、好転材料としては、クリーニング業で、長雨の影響により、売上が伸びたケースもあったとの報告があった。