小規模企業景気動向調査
平成26年9月期調査
~一部で改善が見られたものの、全体では悪化が続く小規模企業景況~
2014年10月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…一部で改善が見られたものの、全体では悪化が続く小規模企業景況…◇
9月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の売上額、採算、資金繰りおよび業況DI(景気動向指数・前年同月比)は多少悪化した。業況DIが 2か月続けて悪化したのは、2年1か月ぶりである。経営指導員からは、1.全般に、原材料費や燃料費などコスト高の影響がみられる、2.小売業・サービス 業で、消費増税の影響に天候不順も加わり、消費の落ち込みが続いているなどの報告があった。
<製造業> ◇…機械・金属関連で受注増の動きがあるものの、コスト高が響き、悪化した製造業…◇
製造業は、売上額DIはわずかに改善したものの、採算、資金繰りおよび業況DIは多少悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.食品関連 で、引き続き燃料費などのコストが増加し採算が取れない、2.繊維関連で、受注単価の低下や原材料費の高騰により、収益が減少している、3.自動車関連 で、消費増税の駆け込み需要の反動から、受注が減少しているなどの報告があった。また、好転材料としては、精密機械、生産用機械、機械部品などで受注が増 加しているとの報告があった。
<建設業> ◇…人手不足の影響があるものの、公共工事の受注増など、明るさが見られる建設業…◇
建設業は、売上額DIは大幅に改善、また、採算、資金繰りおよび業況DIは小幅に改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.一部地域で、 公共工事の受注が増加している、2.リフォームや、太陽光発電事業の受注が増加した、3.消費税の再増税を見据え、一部地域で、住宅関連の受注が増加して いるなどの報告があった。また、悪化材料としては、依然として、人手不足により人件費が上昇しており、採算が悪化しているとの報告があった。
<小売業> ◇…消費増税の影響が続く中、天候不順が消費に影を落とし、悪化が続く小売業…◇
小売業は、売上額および業況DIは小幅に悪化、また、採算および資金繰りDIは大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.食品関連 で、野菜などの価格上昇により購買意欲が低下し、売上額が減少した、2.天候不順によるエアコン等の販売不振が、資金繰りに悪影響を及ぼしている、3.消 費増税の影響が続き、客単価が低下し、消費が落ち込んでいるなどの報告があった。一方、前月に引き続き、好転を示す報告は少なかった。
<サービス業> ◇…天候不順などで、宿泊関連を中心に悪化したサービス業…◇
サービス業は、採算、資金繰りおよび業況DIは小幅に悪化、また売上額DIは大幅に悪化した。経営指導員から、悪化材料としては、1.宿泊関連で、天候不 順により客足が鈍く、売上額が減少した、2.理美容業で、来店頻度が低下し売上額が減少している、3.クリーニング業で、洗剤や燃料費の値上がりにより、 収益が減少しているなどの報告があった。また、好転材料としては、運送業や建設関連のリース業で、災害復興関連の工事増加に伴い、好調な事業所が見られた との報告があった。