小規模企業景気動向調査
平成26年12月期調査
~悪化傾向から一転、改善を示した小規模企業景況~
2015年1月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2014年12月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…悪化傾向から一転、改善を示した小規模企業景況…◇
12月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の資金繰りおよび業況DI(景気動向指数・前年同月比)は小幅改善、また、売上額および採算DI は大幅に改善した。前月比で、全てのDIが改善したのは5か月ぶり。一方、経営指導員からは、1.消費増税と円安の影響で、景気は減速しているようだ、 2.景気持ち直しの雰囲気はあるが、消費マインドの向上までには至らず、個人消費は低迷しているなど、厳しい景況認識を指摘する報告もあった。
<製造業> ◇…受注は好調だが、円安の影響もあり、採算は厳しい製造業…◇
製造業は、採算および資金繰りDIは多少改善、また、売上額DIは大幅に改善し、業況DIは不変であった。経営指導員から、好転材料として、1. 精密機械関連や機械部品関連、自動車関連で、受注好調により売上額が増加した、2.一部で、原油価格の下落により、採算の悪化に歯止めがかかりつつあるなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.食品関連で、円安の影響で輸入原材料が高騰し、採算が取れない、2.電気料金の値上げにより、経費が増加し厳しいなどの報告があった。
<建設業> ◇…公共工事を中心に受注好調だが、資材価格・人件費の高止まりの影響が残る建設業…◇
建設業は、資金繰りおよび業況DIは多少改善、また、採算DIは大幅に改善し、売上額DIについては12.3ptの改善を示した。経営指導員か ら、好転材料としては、1.公共工事関連で、年末にかけて、土木工事や災害復旧工事の受注が好調であった、2.住宅リフォームの受注が安定しているなどの 報告があった。また、悪化材料としては、1.資材価格や人件費の上昇が継続しており、収益が確保できない、2.一部地域で、降雪の影響により工事が滞り、 売上額が減少しているなどの報告があった。
<小売業> ◇…冬物商品の販売増等により明るさが見られるものの、依然、個人消費の落ち込みが続く小売業…◇
小売業は、資金繰りDIは小幅改善、また、売上額、採算および業況DIは大幅に改善した。経営指導員から、好転材料としては、1.寒波の到来により、冬物衣料の売れ行きが良好であった、2.食料品関連で、年末需要で、客数や売上額が増加した事例があったなどの報告があった。また、悪化材料としては、1.個人消費の落ち込みにより、引き続き売上額が減少している、2.食料品の仕入単価上昇により、収益が圧迫されているなどの報告があった。
<サービス業> ◇…年末の需要期で、明るい動きが見られたサービス業…◇
サービス業は、資金繰りおよび業況DIは多少改善、また、売上額および採算DIは大幅に改善した。経営指導員から、改善材料としては、1.宿泊関連で、年末で、宿泊客や宴会利用の増加により好調であった、2.理美容業で、年末で客数が増加し、売上額が増加したなどの報告があった。また、悪化材料としては、 1.飲食関連で、材料価格の上昇により採算が取れない、2.クリーニング業で、節約志向から、顧客が利用を控えることで、売上額が減少しているなどの報告があった。