小規模企業景気動向調査
平成27年8月期調査
~6ヶ月連続の改善から悪化に転じた小規模企業景況~
2015年9月29日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2015年8月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…6ヶ月連続の改善から悪化に転じた小規模企業景況…◇
8月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は小幅悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは小幅悪化、採算DIは若干悪化、資金繰りDIは不変となった。業況DIは先月まで6ヶ月連続で改善していたが、その流れが途切れる結果となった。プレミアム付き商品券については、景気に一定の効果をもたらしているとの報告もある一方、小規模企業に対しては「影響が限定的」との声もある。
<製造業> ◇…9ヶ月ぶりに悪化を示した製造業…◇
製造業の業況DIは、小幅悪化となった。項目別に見ると、売上額及び採算DIは小幅悪化、資金繰りDIは不変となった。経営指導員から、悪化材料として、①自動車関連で、リコール問題の影響により業績が悪化している、②食品関連で、原材料費の上昇や取引先からの値下げ要請で、採算が厳しいなどの報告があった。また、好転材料としては、一部の機械・金属関連で、引き続き、売上が増加傾向にあるなどの報告があった。
<建設業> ◇…人手不足と資材高騰が続く中、公共工事が低調で大きく悪化した建設業…◇
建設業の業況DIは、大幅悪化となった。項目別に見ると、売上額及び採算DIは小幅悪化、資金繰りDIはわずかに改善となった。経営指導員から、悪化材料として、①公共工事の減少により競争が激しく、売上・資金繰りとも悪化した、②受注はあるものの、依然として資材価格と人件費の高騰が収益を圧迫しているなどの報告があった。また、好転材料としては、一部でリフォーム補助金や省エネ住宅ポイントの効果が出ており、受注が増加したなどの報告があった。
<小売業> ◇…天候不順の影響や大型店との競合で大きく悪化した小売業…◇
小売業の業況DIは、大幅悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは小幅悪化、採算DIは不変、資金繰りDIはわずかに改善となった。経営指導員から、悪化材料として、①食料品関連で、消費者の節約志向に加え、天候不順の影響で野菜の価格が上昇したことにより、売上が伸びなかった、②大型店への顧客流出により、小規模小売店は売上が減少傾向にあるなどの報告があった。また、好転材料としては、プレミアム付き商品券のおかげで、若干ではあるが新規顧客の獲得や売上増加につながったなどの報告があった。
<サービス業> ◇…理美容業やクリーニング業が足枷となり全体では横ばいとなったサービス業…◇
サービス業の業況DIは、不変となった。項目別に見ると、売上額及び資金繰りDIは小幅悪化、採算DIは若干悪化となった。経営指導員から、悪化材料として、①理美容業で、同業者間の競争が激しく苦戦している、②クリーニング業で、消耗品の仕入価格が上昇しているが、値段に転嫁できないなどの報告があった。また、好転材料としては、一部地域の観光・宿泊関連で、夏休み中に天候に恵まれたことにより利用客が増加したなどの報告があった。