小規模企業景気動向調査
平成27年9月期調査
~小売業を中心に悪化が続いた小規模企業景況~
2015年10月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2015年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体> ◇…小売業を中心に悪化が続いた小規模企業景況…◇
9月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに悪化となった。項目別に見ると、売上額及び資金繰りDIは若干悪化、採算DIは不変となった。下げ幅は小さいものの、業況DIは前月に引き続き悪化となった。経営指導員からは、プレミアム付き商品券により個人消費に動きが見られるものの、全体的には厳しい状況が続いているなどの報告があった。
<製造業> ◇…明るい材料が乏しく、前月から横ばいとなった製造業…◇
製造業の業況DIは、不変となった。項目別に見ると、売上額DIは不変、採算DIは小幅改善、資金繰りDIはわずかに悪化となった。経営指導員から、好転材料として、①繊維関連で、国内回帰により受注が増加傾向にある、②一部の食品関連で、贈答品を中心に売上を伸ばしているなどの報告があった。また、悪化材料としては、①機械・金属関連や自動車関連で、中国経済の減速による影響で受注が減少している、②水産加工業で、原料の不漁により仕入価格が高騰し、採算が悪化しているなどの報告があった。
<建設業> ◇…一部地域で公共工事の増加が見られ、やや持ち直した建設業…◇
建設業の業況DIは、小幅改善となった。項目別に見ると、売上額DIは若干改善、採算DIは小幅改善、資金繰りDIは若干悪化となった。経営指導員から、好転材料として、①一部地域の土木関連で、公共工事が増えてきている、②住宅関連で、リフォームが好調で塗装・板金等は受注が増加しているなどの報告があった。また、悪化材料としては、依然として人手不足と資材価格の高止まりが続いており、採算が厳しいなどの報告があった。
<小売業> ◇…食料品関連で仕入価格の上昇が続き、大きく悪化した小売業…◇
小売業の業況DIは、小幅悪化となった。項目別に見ると、売上額及び採算DIは大幅悪化、資金繰りDIは小幅悪化となった。経営指導員から、悪化材料として、①食料品関連で、野菜等の仕入価格が高騰しており、売上・採算とも悪化傾向であった、②プレミアム付き商品券の利用が増加したため、換金までの資金繰りに苦慮しているなどの報告があった。また、好転材料としては、一時的ではあるがプレミアム付き商品券による消費喚起効果で、客数・客単価が多少上がったなどの報告があった。
<サービス業> ◇…消費者の節約志向等で需要が伸びず、停滞が続いたサービス業…◇
サービス業の業況DIは、若干悪化となった。項目別に見ると、売上額及び資金繰りDIは不変、採算DIはわずかに悪化となった。経営指導員から、悪化材料として、①理美容業で、チェーン店への顧客流出や来店間隔の長期化により、売上が減少している、②一部地域の宿泊業で、大型工事終了に伴う工事関係者の利用減や他産業の不振による影響で停滞気味であるなどの報告があった。また、好転材料としては、クリーニング業で、燃料価格が低下したため、資金繰りに若干のゆとりが感じられるなどの報告があった。