小規模企業景気動向調査

平成27年12月期調査

～改善の動きが続かず横ばい傾向の小規模企業景況～

2016年1月26日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員
調査時点：2015年12月末
調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞ ◇…改善の動きが続かず横ばい傾向の小規模企業景況…◇

　12月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI（景気動向指数・前年同月比）はわずかに悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは小幅改善、採算及び資金繰りDIは不変となった。経営指導員からは、①一部の業種ではやや上向いているが、全体的には厳しい状況が続いている、②経営者の高齢化が進み、廃業を考える事業所が出ているなどの報告があった。

＜製造業＞　◇…機械部品や自動車関連の下請企業で厳しい様子が窺われた製造業…◇

　製造業の業況DIは、小幅悪化となった。項目別に見ると、売上額、採算、資金繰りDIともに小幅改善となった。経営指導員から、悪化材料として、①機械部品関連で、大手企業の工場閉鎖等の影響により、地域の下請企業は受注減となっている、②自動車関連で、仕入単価が上昇しており、売上は確保しているものの利益は伸びていないなどの報告があった。また、好転材料としては、一部の食品関連で、ふるさと納税の返礼品として駆け込み需要があり、好転したなどの報告があった。

＜建設業＞　◇…除雪業務の減少や人手不足による工期延長などで悪化に転じた建設業…◇

　建設業の業況DIは、わずかに悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは小幅悪化、採算及び資金繰りDIは不変となった。経営指導員から、悪化材料として、①東北から北陸地方にかけての土木関連で、暖冬の影響で除雪業務が激減し、売上が減少している、②受注は確保できているが、人手不足のため工期が延びているなどの報告があった。また、好転材料としては、年末にかけて公共工事の受注が多少増えているなどの報告があった。

＜小売業＞　◇…暖冬の影響で冬物衣料や季節家電の不振が続いた小売業…◇

　小売業の業況DIは、不変となった。項目別に見ると、売上額及び採算DIは多少の改善、資金繰りDIは不変となった。経営指導員から、好転材料として、食料品関連で、年末商戦が比較的好調で、来客数が増加したなどの報告があった。また、悪化材料としては、①暖冬の影響で、冬物衣料や暖房器具の売上が伸びない、②年末商戦においても近隣大型店への流出が大きく、地域の小規模小売店では厳しい状況が続いているなどの報告があった。

＜サービス業＞　◇…自動車関連や宿泊関連で雪不足の影響が見られたサービス業…◇

　サービス業の業況DIは、若干悪化となった。項目別に見ると、売上額DIは小幅改善、採算及び資金繰りDIは若干悪化となった。経営指導員から、悪化材料として、①自動車関連やスキー場周辺の宿泊関連で、雪が降らないため、例年に比べて売上が減少している、②宿泊関連で、観光客等の増加により稼働率は上がっているが、客単価が低いため改善には至っていないなどの報告があった。また、好転材料としては、理美容業で、年末年始にかけて順調に予約が入っているなどの報告があった。