小規模企業景気動向調査
平成28年7月期調査
~全業種で業況が上向き4期ぶりに改善を示したが、回復までは至らない小規模企業景況~
2016年8月26日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2016年7月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…全業種で業況が上向き4期ぶりに改善を示したが、回復までは至らない小規模企業景況…◇
7月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は小幅改善となった。項目別においても、売上額及び採算並びに資金繰りDIとも小幅の改善となった。全業種が改善を示したのは、平成27年7月期調査以来1年ぶりとなったが、業況DIは-22.6ptと大幅悪化した平成26年4月の消費税率引き上げ時(-24.2pt)とほぼ同水準となっており、回復までは至っていない。経営指導員からは、設備投資などにより一部に活況感があるとする一方、個人所得が伸びず消費が活発とは言えず、高額商品を控える傾向がみられるとの報告があった。
<製造業> ◇…燃料費や材料費が下落し、小幅に改善となった製造業…◇
製造業の業況DIは、小幅改善となった。項目別に見ると、売上額DIは不変、採算DIは大幅な改善、資金繰りDIは小幅改善となった。経営指導員から、好転材料として、①機械部品で安定した受注状況となっている、②食料品関連で燃料費や材料費の価格下落により採算が好転している。また、悪化材料としては、①輸出関連で円高等により引き続きの悪化傾向、②繊維工業関連で、一般衣料の販売が低迷し、業界全体が縮小傾向にあるとの報告があった。
<建設業> ◇…人手不足があるものの需要の増加により、大幅改善となった建設業…◇
建設業の業況DIは、大幅な改善となった。項目別に見ると、採算DIはわずかに悪化したものの、売上額及び資金繰りDIは、ともに小幅な改善となった。経営指導員から、好転材料として、①リフォーム関連で需要増加に伴い好調を維持している、②塗装関連で注文増加により売上が増加している。また、悪化材料としては、①受注は増加しているが人件費及び材料費の高騰により採算が取れない案件が多い、②技術労働者が不足し、公共工事を受注できていない、③戸建て受注の価格帯が下落し、売上・利益が減少傾向にあるとの報告があった。
<小売業> ◇…季節家電が好調であり、食料品の価格が安定したことで、大幅な改善となった小売業…◇
小売業の業況DIは、大幅の改善となった。項目別においては、売上額及び採算並びに資金繰りDIとも小幅の改善となった。経営指導員から、好転材料として、①猛暑により空調関連の引き合いが好調、②生鮮品の価格が安定し、売上がやや上向き傾向となっている。また、悪化材料としては、①衣料品において前年より売上が減少している、②昨年実施した商品券事業分、消費の落ち込みが感じられるとの報告があった。
<サービス業> ◇…夏の観光需要をとりこみ、小幅な改善となったサービス業…◇
サービス業の業況DIは、小幅改善となった。項目別に見ると、売上額DIは若干の改善、採算DIは不変、資金繰りDIは小幅の改善となった。経営指導員から、好転材料として、①宿泊関連で外国人客が増加している、②運送関連で燃料費の低下により、前年より利益率が上がっている。また、悪化材料としては、①クリーニングや理美容で消費が悪化傾向にあり、人材不足が課題となっている、②飲食業で材料価格が上昇しているとの報告があった。