小規模企業景気動向調査
平成28年10月期調査
~小売業・サービス業が先月からわずかに改善するも、力強さに欠ける小規模企業景況~
2016年11月22日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2016年10月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…小売業・サービス業が先月からわずかに改善するも、力強さに欠ける小規模企業景況…◇
10月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに改善した。項目別においては、売上額DI、採算DI、資金繰りDIはいずれもわずかな好転となった。小売業、サービス業は全項目、建設業は資金繰りDI以外はプラスとなる一方、製造業は業況DI以外がマイナスとなり、業種により差が見られた。経営指導員からは、紅葉の季節となり外国人観光客、修学旅行客が増加してきており、それに関連する産業で好調との報告がある一方で、10月中旬に発生した鳥取県中部地震等の災害により、地方によっては旅館業を中心にキャンセルが発生し、売上が減少しているとの報告があった。
<製造業> ◇…金属製品・金属加工機械で好調となるも、原料高等の影響で先月から一転悪化となった製造業…◇
製造業の業況DIは、わずかな悪化となった。項目別に見ると、採算DI及び資金繰りDIがわずかに悪化、業況DIは不変であった。経営指導員からは、金属製品製造業が好況であったことから、これと併せて金属加工機械製造業が業績を伸ばしている。一方で、食料品製造業は、天候不順や不漁により原料価格が高騰し、採算が厳しいとの報告があった。
<建設業> ◇…リフォーム工事を中心に民間工事が好調であるが、資材高等により資金繰りに苦しむ建設業…◇
建設業の業況DIは、先月に引き続きわずかな改善となった。項目別に見ると、売上額DI及び採算DIは小幅な改善、一方、資金繰りDIはほぼ変化が無かった。好転材料としては、民間工事がリフォーム工事を中心に好調、企業の大小を問わず受注件数が増加している。悪化材料としては、産業全体でも取り上げたとおり、10月中旬に発生した鳥取県中部地震等の災害の影響で来月以降、公共工事の受注増が見込まれるが、依然として人手不足や資材価格上昇は改善されず、そのため採算は厳しく、単価の面で利益確保は大変難しいとの報告があった。
<小売業> ◇…秋の行楽需要が見られるものの、消費者マインドの改善は見えず低迷の続く小売業…◇
小売業の業況DIは、先月から一転わずかな改善となった。項目別においては、売上額DI及び資金繰りDIは小幅な改善、採算DIは不変に留まった。地方によっては、紅葉等の秋の行楽シーズンを迎え、食料品やお土産品等の売上が好調であるとの報告がある一方で、先月から引き続き、生鮮野菜や果物、鮮魚等の仕入れ価格の高騰、消費者の買い控えや節約傾向により売上低迷が続いている。
<サービス業> ◇…先月から一転小幅に改善するも、依然として先行き不透明なサービス業…◇
サービス業の業況DIは、小幅な改善となった。項目別に見ると、売上額DI、採算DI、資金繰りDIいずれも小幅な改善となった。経営指導員からは、旅館・宿泊業については、紅葉シーズンと関連した各種イベントを開催した地域を中心に宿泊施設の売上が好調となっている報告があった一方で、食料品の価格高騰が影を落とし、利益確保に悩んでいる報告があった。また、理美容業や自動車整備業では、顧客の固定化が進み、かつその顧客の高齢化や来店頻度が低下により利益確保が難しくなっているとの報告があった。