小規模企業景気動向調査
平成28年11月期調査
~製造業、建設業、小売業で改善がみられるものの予断を許さない小規模企業景況~
2016年12月28日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2016年11月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…製造業、建設業、小売業で改善がみられるものの予断を許さない小規模企業景況…◇
11月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに改善した。項目別においては、売上額DI、採算DIが小幅に好転、資金繰りDIはわずかな好転となった。製造業、建設業、小売業は全項目が改善したが、サービス業は売上額DIのみ改善となり、業種により差が見られた。経営指導員からは、既存設備の更新に合わせた資金需要に金融機関も積極対応が見られる等の報告がある一方で、地域経済の状況は全体的に厳しい状況が続いており、予断を許さない状況であるとの報告があった。
<製造業> ◇…一部業種で売上が減少するも、食料品や半導体等を中心に先月から大幅好転となった製造業…◇
製造業の業況DIは、先月から一転、大幅改善となった。特に売上額DIは大幅改善となったが、採算DIと資金繰りDIは小幅に留まった。経営指導員からは、時節柄、冬季向けの需要増により食料品製造業が好況であったことや、先月、好況であった金属加工機械製造業に続き、電子回路製造業や半導体メモリメディア製造業でも受注が増加している。一方で、自動運転車関連の企業誘致が決定した地域では、大手企業に比べ給与水準や雇用条件等が不利な地元中小・小規模事業者の人手不足に拍車がかかると危機感を強めている。
<建設業> ◇…公共工事を中心に好調が続くが、人手不足・人件費高騰により収支が悪化する建設業…◇
建設業の業況DIは、先月に引き続きわずかな改善となった。項目別に見ると、売上額DI、採算DI、資金繰りDIはいずれも小幅に改善した。好転材料としては、公共工事の受注件数が増加したことに加え、民間工事ではリフォーム工事に伴う各種工事の増加、積雪地域では冬季前の道路補修や消雪パイプの点検等が行われ、地域を問わず売上が増加している。悪化材料としては、人手不足により、技術者や従業員の確保に苦労している。併せて人件費高騰により収支悪化も常態化しており、建設業界の先行きは依然厳しいものとなっている。
<小売業> ◇…衣料品を中心に冬物への需要が見られるものの、依然として買い控えの傾向が続く小売業…◇
小売業の業況DIは、先月に引き続き小幅な改善となった。項目別においては、売上額DIで大幅改善、採算DI及び資金繰りDIは小幅な改善に留まった。冬物衣料の売上や正月前の季節需要の増加が少しずつ見られるとの報告がある一方で、生鮮野菜や果物、鮮魚等の価格高騰が節約志向とあいまって、売価に反映できず、収益の悪化が続いている。
<サービス業> ◇…先月から一転わずかに悪化に転ずるも、業種により差が見られるサービス業…◇
サービス業の業況DIは、先月から一転わずかな悪化となった。項目別に見ると、売上額DIではわずかに好転するも、採算DIはわずかに悪化、資金繰りDIは小幅な悪化となった。経営指導員からは、宿泊・飲食関連のサービス業では忘年会・新年会の予約が増加傾向で期待が持てる地域がある一方で、材料費高を価格転嫁できず収益悪化を招いていることや、運送業では、クリスマス・正月等の年末商戦を控え、貨物量は増加傾向にあるが、運転手不足が深刻化しており、貨物の配送に間に合わず受注できない企業もあるとの報告があった。