小規模企業景気動向調査

平成29年3月期調査

～緩やかな回復の兆しが見えるも、資金需要は低迷し、なおも弱い動きが続く小規模企業景況～

2017年4月26日
全国商工会連合会

＜調査概要＞

調査対象：全国約300商工会の経営指導員

調査時点：2017年3月末

調査方法：対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式

＜産業全体＞◇…緩やかな回復の兆しが見えるも、資金需要は低迷し、なおも弱い動きが続く小規模企業景況…◇

　3月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI（景気動向指数・前年同月比）は不変であった。項目別では、売上額DIと採算DIが小幅改善、資金繰りDIはわずかな改善に留まった。経営指導員からは、例年よりツアー客、海外旅行客が増加傾向であり、今シーズンは、地域経済への波及効果にも期待していると報告がある一方で、極端な悪化は見られないものの、景況全体としては消費の伸び悩みが続いており、資金繰り等への不安から新規融資について消極的な企業が多くみられる旨の報告があった。

＜製造業＞　◇…一部業種で仕事量・売上が増加傾向になるも、人手不足、従業員の高齢化が深刻な製造業…◇

　製造業の業況DIは、先月と比べわずかに改善した。特に売上額DIが大幅に改善した一方で、採算DIは不変、資金繰りDIはわずかに悪化した。経営指導員からは、生産用機械器具、輸送用機械器具、電子部品製造業では、仕事量が増え、売上も増加しているとの報告があった。一方で、昨年まで売上が好調であった建設機械部品製造業は受注量の減や漆器などの伝統工芸品の製造業や水産食料品、菓子製造業では人手不足、従業員の高齢化が顕著となっているとの報告があった。

＜建設業＞　◇…公共工事に代わり民間工事に好調の声のあるも、燃料費や人件費増により冷え込み続く建設業…◇

　建設業の業況DIは、先月と比べわずかな悪化となった。先月2桁の改善を示した売上額DIは小幅に悪化し、採算DIと資金繰りDIは不変であった。一般住宅建築や土木建設関連などは売上が好調であった。一方で、ここ数ヶ月続いている人手不足は依然として解消されず、また、鉄筋やコンクリート等の資材価格、軽油やガソリン等の燃料価格が上昇し、厳しい状況が続いている。

＜小売業＞　◇…一部で売上が好調も、仕入価格上昇や大型店等との競争激化する小売業…◇

　小売業の業況DIは、2ヶ月連続でわずかに改善した。売上額DIと採算DIは大幅改善、資金繰りDIは小幅に改善した。観光客の取り込みや定期的な売り出し日を定めている店舗では人口減少や買い控えが続く現状においても売上を確保している。しかしながら、大型店やドラッグストア、コンビニエンスストア等との競争が激しさを増しており、また、水産物やガソリン等の燃料の仕入価格の上昇を販売単価に価格転嫁ができず、利益幅が縮小しているとの報告があった。

＜サービス業＞　◇…先月から一転改善を示すも、仕入価格や燃料費の上昇により収益悪化が懸念されるサービス業…◇

　サービス業の業況DIは、2ヶ月連続してわずかに改善した。項目別に見ると、売上額DIと採算DIが小幅な改善、資金繰りDIはわずかに改善した。宿泊業や観光関連サービス業では、春休みシーズンに入り観光客増により改善している。飲食業では送別会開催により売上が向上している。他にもネイルサロンやアロマエステといった業種の開業が見られたり、ペット関連のサービス業の売上が増加傾向にあるなど、新しい動きが目立っている。一方、ノーアイロン衣料品など機能性の高い商品の出現によりクリーニング離れが生じてきたことや水産物の仕入価格の上昇、旅客運輸業では燃料費の上昇により収益が悪化気味との声が聞かれた。