小規模企業景気動向調査
平成29年4月期調査
~4ヶ月ぶりに全業種で改善を示した小規模企業景況~
2017年6月6日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2017年4月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…4ヶ月ぶりに全業種で改善を示した小規模企業景況…◇
4月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は小幅に改善した。項目別では、売上額DIと資金繰りDIは小幅に改善したが、採算DIがわずかな改善に留まった。全業種で業況が改善を示したのは、平成28年12月以来4ヶ月ぶり。経営指導員からは、飲食店や宿泊業を中心に観光関連業種に好況感が見られるという報告があり、また、食品製造業や輸送用機械器具製造業等の一部業種では好調を維持している声があった。一方で、一部の地域では、人口減少や高齢化等により全般的に経済状況は悪化傾向で、先行きは良いとは言えない旨の報告があった。
<製造業> ◇…一部業種において持ち直しが見られるも、原材料高騰の長期化により厳しい状態が続く製造業…◇
製造業の業況DIは、先月に引き続きわずかに改善した。売上額DIは不変であった一方で、採算DIと資金繰りDIは小幅に改善した。経営指導員からは、需要の高まりを受けて建材製造の受注が増加していることや、輸送用機械器具製造業については、会社の規模を問わず小規模・零細事業所にも仕事量が回り始め操業率が回復しているとの報告があった。一方で、金属製品製造業の中でも汎用性のあるボルト、ナット、リベット等の製造業では、非鉄金属の価格上昇により、大変厳しい経営状況であるとの報告があった。
<建設業> ◇…リフォーム関連工事による受注量に安定が見られるが、人手不足感が依然として続く建設業…◇
建設業の業況DIは、先月と比べ小幅な改善となった。売上額DI、採算DI、資金繰りDIはいずれも小幅な改善となった。例年であれば4月は3月までの公共工事の発注が終息し、仕事量の減少が散見されるところだが、経営指導員からは民間工事、特にリフォーム関連工事があることで、仕事量は安定しているとの報告があった。一方で、先月の報告でも取り上げた人手不足は、改善の兆しがみえず、受注機会の放棄や採算悪化を招いている。
<小売業> ◇…季節需要から一部業種で売上が増加するも、大型小売店との競争で苦戦が続く小売業…◇
小売業の業況DIは、3ヶ月連続でわずかに改善した。売上額DIは小幅に改善したものの、採算DIは小幅な悪化、資金繰りDIはわずかに悪化した。季節要因として、入学式・入社式に関連した需要により売上額が増加したとの報告がある。一方、大型小売店の出店攻勢や既存大型店との価格競争から地域の小規模事業者は大変厳しい状況が続いており、粗利益の確保に苦戦しているとの報告があった。
<サービス業> ◇…需要の高まりを受け、業況が大幅に改善するも、観光業以外は厳しい状況にあるサービス業…◇
サービス業の業況DIは、3ヶ月連続で改善し、改善幅は大幅となった。項目別に見ると、売上額DIが大幅改善、採算DIと資金繰りDIは小幅に改善した。経営指導員からは、4月期は旅行客増加に関するコメントが散見され、特に一部地域では観光需要の高まりを受け、従来からの外国人旅行客の増加のみならず、最近は通過型観光から体験・滞在型観光への転換が進むなど、観光客の需要の変化が進んでいると報告があった。一方で、理美容業などの生活関連サービス業では、対象とする消費者の行動が広範囲に渡っていることから、市外や県外の同業他社との競争が厳しい状況にあるとの声が聞かれた。