小規模企業景気動向調査
平成29年6月期調査
~先月までの改善の勢いは続かず、業種によってばらつきがみられた小規模企業景況~
2017年7月26日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2017年6月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…先月までの改善の勢いは続かず、業種によってばらつきがみられた小規模企業景況…◇
6月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は不変であった。項目別では、先月と比べ売上額DIがわずかに悪化、資金繰りDIは不変、採算DIはわずかに改善した。業種別の業況DIは、製造業が大幅改善、小売業がわずかに改善を示した一方、サービス業が小幅悪化、建設業がわずかに悪化し、業種によってばらつきがみられた結果となった。経営指導員からは、梅雨の季節であるが例年と比べ天気が良好であったため、製造業、建設業、小売業においてわずかながら売上の増加が見られた地域があったとの報告がある一方で、原材料高、人手不足、後継者不足といった課題はいまだ解決せず、全般的に停滞傾向にあるとの報告があった。
<製造業> ◇…金属製品製造業を中心に好調であるも仕入価格上昇が懸念材料となっている製造業…◇
製造業の業況DIは大幅に改善した。項目別では、売上額DI、採算DI、資金繰りDIのいずれも小幅に改善した。経営指導員からは、金属製品製造業を中心に、輸送用機械に関連した電子部品・デバイス・電子回路製造業や建設関連のプラスチック製品製造業については、受注量が確保されており、好調であるとの報告があった一方で、食料品製造業や繊維工業では、原材料の仕入単価が上昇が利益を圧迫しているなど懸念材料が示された。
<建設業> ◇…住宅やリフォームの民間工事が好調であるが、資材価格高騰や人手不足等より厳しい建設業…◇
建設業の売上額DIは先月に引き続き不変であったが、業況DI、採算DI、資金繰りDIはわずかに悪化した。今月は公共工事よりも民間工事、特にリフォーム関連の建設業が好調であったとのコメントが目立った。その一方で、新年度の入札が始まるも公共工事の発注量は依然として少なく、発注量の減少を補うために、個人住宅の建設やリフォーム関連の民間工事に参入しても、資材価格の高騰や人手不足により、利幅は少ないことや、人手不足により受注機会を逸している事業所もあるなど、厳しい状態が続いているとの報告があった。
<小売業> ◇…一部でわずかな改善が見られるも、来月以降も改善が継続するかは見通せない小売業…◇
小売業の業況DIは、5ヶ月連続でわずかに改善した。売上額DIは不変で、採算DIの改善幅は小幅、資金繰りDIはわずかであった。品目別の業況については、食料品では小幅な悪化だったものの、衣料品では小幅な改善、耐久消費財では大幅な改善が見られた。経営指導員からは、食料品では魚介類の仕入価格高騰や、衣料品では衣替えが一段落したこと、耐久消費財では、家庭用クーラーやエアコン等の特定の季節になると需要が高まる季節家電の出足が鈍いとの報告があった。来月以降も改善が継続するかは先行きが見通せない。
<サービス業> ◇…全項目で悪化を示し、先行きが見通せないサービス業…◇
サービス業の業況DIは、小幅に悪化した。項目別に見ると、売上額DIは大幅に悪化、採算DIと資金繰りDIはわずかに悪化した。経営指導員からは、6月は梅雨の時期であること、行楽につながるイベントに乏しく、また先月のような連休が無いことから、宿泊業が振るわなかったとの報告があった。また、運輸業の人材確保難は、有効な解決法がみられず、このまま夏のお中元シーズンを迎えなければならないことから、先行不安感が高まっている。
全国商工会連合会 企業環境整備課