小規模企業景気動向調査
平成29年7月期調査
~6ヶ月連続で改善し、持ち直しの動きがみられるも、製造業が低調であった小規模企業景況~
2017年8月31日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2017年7月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…6ヶ月連続で改善し持ち直しの動きがみられるも、製造業が低調であった小規模企業景況…◇
7月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに改善した。項目別では、売上額DIが小幅に改善、資金繰りDIはわずかに改善したものの、採算DIは不変に留まった。経営指導員からは、夏季休暇等の繁忙期を迎えて、観光関連産業が多忙となっている報告がある一方で、地域によっては観光需要を取り込んでいないとの報告があるなど、全体として良い傾向を示すものではなかった。また、地域の小規模企業では依然として人手不足にあるとのコメントが寄せられている。
<製造業> ◇…食料品製造業や電子回路製造業は好転するも、仕入単価上昇、受注単価下落で悪化を示した製造業…◇
製造業の業況DIは先月とは一転小幅に悪化した。売上額DI、採算DI、資金繰りDIはいずれもわずかに悪化した。経営指導員からは、一部の食料品製造業では夏休みやお盆休みの消費を見込んで生産量を増やしたり、電子部品関連では、海外向けのスマートフォン用半導体の製造が好調との報告があった。一方で、食料品製造業や電子回路製造業以外の製造業では、原油価格や非鉄金属などの原材料価格高騰による仕入単価の上昇や、人手不足により人件費が上昇している半面、受注単価は下落しているとの報告があった。
<建設業> ◇…公共工事や復興工事の発注量が増えるも、人手不足により受注機会の損失が発生している建設業…◇
建設業の業況DI、採算DI、資金繰りDIは先月と比べわずかに改善した。売上額DIについては大幅な改善が見られた。地方自治体の公共工事の発注が出揃い始めたことや、今月上旬は福岡県と大分県を中心に、下旬は秋田県が大雨に見舞われたことで、一時的に復興工事の発注量が増えてきていると報告がある一方、人材の定着率が悪く、技術者を採用しても早期退職してしまうため、慢性的に人手不足は解消されていないことに加え、労務費も高騰しており、受注機会の損失につながっているとの報告があった。
<小売業> ◇…耐久消費財や飲食料品を中心に改善が見られるも、衣服については低調が続く小売業…◇
小売業の業況DI、売上額DIは小幅に改善したものの、採算DIと資金繰りDIはわずかに悪化した。高温続きでエアコン等の耐久消費財の動きが活発となったことや、観光客向けの小売業が売上増との報告があった。一方で、衣服小売業については、夏物を仕入れても商品に動きが無く、また、低価格指向が根強いことから、前年割れを起こしているとの報告があった。
<サービス業> ◇…観光関連がけん引し、全項目で小幅に改善を示したサービス業…◇
サービス業の売上額DI、採算DI、資金繰りDI、業況DIは、いずれも小幅に改善した。経営指導員からは、国内外の観光客の増加、夏休み需要により観光産業が好調である旨のコメントが多く見られた。一方で、理美容業及びクリーニング業については、依然厳しい環境が続いており、地方によっては後継者不足で廃業にせざるをえないとの報告があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課