小規模企業景気動向調査
平成29年8月期調査
~業種によりばらつきがあるが、総じてほぼ横ばいの小規模企業景況~
2017年9月28日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2017年8月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…業種によりばらつきがあるが、総じてほぼ横ばいの小規模企業景況…◇
8月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)と採算DIは不変、資金繰りDIはわずかに改善したものの、売上額DIは小幅に悪化した。業況DIについては、建設業が小幅改善を示したもの、小売業は小幅に悪化。サービス業がわずかに改善するも、製造業はわずかに悪化し、業種によりばらつきがみられ、まだら模様となった。経営指導員からは、全体的に建設業や観光業は堅調である一方で、地域によっては低温長雨の続く天候不順であったため、夏季需要や消費が低迷したとのコメントがあった。
<製造業> ◇…休暇返上で受注対応に追われる業種もあるが、人手不足や原材料高騰が慢性化する製造業…◇
製造業の業況DIは先月に比べわずかに悪化した。売上額DI、採算DIもわずかに悪化したが、資金繰りDIは、ほぼ不変であった。自動車部品製造業では、受注量が増えたため、連休を短くしたり、交代勤務をしたり、稼働率を上げることでそれに対応しているとの報告がある一方で、人手不足が慢性化、かつ、原材料費高騰により、受注を受けても小ロット対応しかできず、売上額及び収益を上げにくいとの報告があった。
<建設業> ◇…他月と比べると公共工事の入札機会に恵まれるも、業者間競争で疲弊する建設業…◇
建設業の売上額DIは先月と比べ小幅に悪化したが、採算DIと業況DIは小幅改善、資金繰りDIは大幅に改善した。公共工事については、地域により増減があるものの、減少傾向にあることを見据えて経費削減などの企業努力が図られているとの報告があった。民間工事については、新規着工は少なく、引き続きリフォーム関連で売上確保の動きがみられるが、受注単価の下落と人手不足や材料費高騰によるコストアップにより、利益はなかなか出せない状況が続いていることや、大手や地区外の企業が受注しているため、小規模企業は厳しい経営を強いられているとの報告があった。
<小売業> ◇…観光業関連の小売業以外は、購買人口減少や大型店との競合などにより厳しい状況が続く小売業…◇
小売業の業況DIと売上額DIは小幅に悪化したものの、採算DIはわずかに改善、資金繰りDIは不変であった。観光業関連の小売業では、観光客の増加に伴い、飲食料品を中心に売上増が見られたものの、それ以外の衣料品をはじめとした小売業では、管内地域の購買人口減少や大型店との競合などにより、引き続き厳しい状況におかれているとの報告があった。
<サービス業> ◇…観光関連産業が業況を牽引したが、他業種で売上額、採算を押し下げる結果となったサービス業…◇
サービス業の業況DIはわずかに改善し、資金繰りDIは不変であった。経営指導員からは、旅館・宿泊関連のサービス業は、観光需要の高まりを受けて好調、クリーニング業については、天候不順であったことで好況をもたらしているとの報告があった一方で、理美容業については依然として、顧客の高齢化、来店サイクルの長期化、低価格店舗との競争により売上は減少しているとのコメントが寄せられ、運輸業、運送業については、人手不足と燃料費の値上げ等により厳しい状態が続いているとの報告があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課