小規模企業景気動向調査
平成29年10月期調査
~建設業を除く3業種で、わずかな悪化が見られた小規模企業景況~
2017年12月5日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2017年10月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…建設業を除く3業種で、わずかな悪化が見られた小規模企業景況…◇
10月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)はわずかに悪化し、売上額DI、採算DI、資金繰りDIはわずかに改善した。建設業では全項目で改善が見られたが、製造業、小売業、サービス業の業況DIは、いずれもわずかに悪化した。経営指導員からは、相次いだ台風による小売業・サービス業の売上機会の損失と建設業の復旧工事による売上増加に関する報告が多かった。
<製造業> ◇…輸送用機械器具・金属製品を中心に受注は増加するも、利益確保までは覚束ない製造業…◇
製造業の業況DIと採算DIは、先月から一転、わずかに悪化した。一方、売上額DIは改善幅はわずかであるが、2ヶ月連続して改善した。経営指導員からは、輸送用機械器具製造業・金属製品製造業を中心に受注を確保しており、堅調な動きが見られるが、単価は上がらず、原材料費も依然として高止まりしていることから、利益の確保や値上げまで踏み切れていない、とのコメントが多く寄せられた。
<建設業> ◇…受注は安定するも、人手不足や材料費高騰等の深刻な状況が続く建設業…◇
業況DI、資金繰りDIはわずかな改善、売上額DI、採算DIは大幅に改善した。特に売上額DIはプラスに転じた。9月の台風18号に続き、10月の台風21号、22号により、被害を受けた地域では復旧工事等の建設需要がある。経営指導員からは、公共工事等の発注が増えてきたため、受注が安定してきたとの報告がある一方で、廃業等により建設業者数が減少している中で急に仕事量が増えたため、地域内の業者では捌ききれないことや、人件費や材料費高騰により受注したくても受注できないとの報告があった。
<小売業> ◇…紅葉やイベントにより売上があがるも、度重なる台風により機会損失もあった小売業…◇
小売業の業況DIは2ヶ月連続でわずかながら悪化した。一方、売上額DIは不変であったが、採算DIと資金繰りDIは先月から一転し、わずかに改善した。経営指導員からは、秋の行楽シーズンやハロウィン等のイベントに関連した業種が好調であったことや衣服小売業も急激な寒さから冬物衣料が売れたとの報告があった。一方で、週末ごとに到来した台風により観光客減や地域の祭り等のイベントが中止になるなど、売上の機会損失も多かったとの報告があった。
<サービス業> ◇…観光関連に好調の兆しが見えるも、洗濯業・理美容業で悪化が続くサービス業…◇
業況DIと資金繰りDIがわずかに悪化、売上額DIは小幅悪化となったが、採算DIはわずかながら改善を示した。経営指導員からは、週末ごとの台風により、観光客が若干減少した感があるが、年間を通じて上向き基調を維持しているとの報告があった。洗濯業は季節の変わり目で需要がある一方で、異常気象により客の入りが不安定であるとともに、石油由来のドライ用洗剤の値上がりのため採算が厳しいとの報告があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課