小規模企業景気動向調査
平成30年1月期調査
~降雪や厳冬により消費が低迷し、全業種で悪化した小規模企業景況~
2018年2月27日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2018年1月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…降雪や厳冬により消費が低迷し、全業種で悪化した小規模企業景況…◇
1月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)、採算DI、資金繰りDIが小幅に悪化し、売上額DIは大幅に悪化した。経営指導員からは、例年を上回る降雪により客足が伸びなかったことに加え、生鮮品が高騰し消費が低迷したこと等により売上悪化を招いたことや、ガソリン・灯油等の燃料費が高値で推移していることから仕入価格が高止まりしており、収益改善が遅れている一方で、自動車や工作機械などの機械・金属加工業は、人手不足の問題を抱えながらも好調を維持しているとの報告があった。
<製造業> ◇…機械・金属は好調を維持する一方、その他の業種が低調であった製造業…◇
製造業の業況DIと売上額DIは先月から一転大幅に悪化し、採算DIと資金繰りDIは小幅に悪化した。工作機械や自動車、機械部品は好調であるが、食料、繊維等その他の業種が振るわず、悪化を示した。経営指導員からは、受注量は一定量確保、あるいは増加しているとのコメントが寄せられている一方で、人手不足や賃金の高騰により、受注量制限をして売上が頭打ちとなっていることや、資金繰りの改善にまでは至っていないとの報告があった。
<建設業> ◇…厳冬や降雪により一部で繁忙を極めるも、深刻な人手不足が利益確保を阻害している建設業…◇
建設業の業況DIは3か月ぶりに大幅に悪化した。売上額DIは先月から10.1ポイント下がり、マイナス4.6となった。採算DI、資金繰りDIは小幅に悪化した。経営指導員からは、降雪や厳冬による除雪作業や水道管破裂の修理などによって売上が増加したところが一部にみられるが、工期の遅れや建築資材の調達遅延があり、利益確保が厳しいとのコメントが寄せられた。また、除雪作業の出動回数が増えたが、その分燃料費がかかるため収益率は低いとの報告があった。加えて、深刻な人手不足がコストアップ要因となり、低収益体質となっているとのコメントも寄せられた。
<小売業> ◇…冬物衣料や暖房家電に動きが出るも、生鮮品の高騰で消費者に買い控えが起きた小売業…◇
小売業の業況DIは先月から一転小幅に悪化するも、他の3業種と比べると悪化幅は小さかった。売上額DIは他3業種と同様に大幅に悪化し、採算DIと資金繰りDIは小幅に悪化した。経営指導員からは、厳冬により、冬物衣料や耐久消費財の中でもストーブやエアコンなどの暖房家電の売上増加がみられたとのコメントがある一方で、食品関係では、天候不順により引き続き青物野菜を中心に値段が高騰しているため、消費者の買い控え起きており、資金繰りと併せて大変厳しいとの報告があった。
<サービス業> ◇…人手不足と燃料費高騰に加え、天候不順が押し下げ要因となったサービス業…◇
サービス業は業況DI、売上額DI、採算DIともに大幅に悪化。資金繰りDIが小幅悪化となった。天候不順で一部のクリーニング業では売上が増加した一方で、燃料費の高騰が採算悪化要因となっているとの報告があった。また、自動車関連サービス業ではスタッドレスタイヤの需要が増えたとの報告があり、運輸業では、仕事量は確保できるが、人手不足と燃料費の上昇が収益圧迫を招き、また、価格改定が出来ず厳しいとの報告があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課