小規模企業景気動向調査
平成30年2月期調査
~建設業を除き、3業種で停滞が続く小規模企業景況~
2018年3月28日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2018年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…建設業を除き、3業種で停滞が続く小規模企業景況…◇
2月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)と資金繰りDIがわずかに悪化し、採算DIは若干の改善、売上額DIは不変となり、小幅な動きとなった。建設業は、堅調な需要が下支えていることに加え、除雪作業が入り好調を示したものの、他3業種は天候不順などにより停滞が続いている。経営指導員からは、大雪による物流等の混乱や寒波による客数減などが悪化を招いたとのコメントが目立った。
<製造業> ◇…金属・自動車・工作機械とそれ以外とで二極化が見られる製造業…◇
製造業の業況DIは不変、売上額DI、採算DI、資金繰りDIはわずかに悪化した。金属製品、自動車部品、建設機械や工作機械については、海外・国内ともに需要が安定し、一部では自社対応できない分を外注するなどの対応に追われている。一方で、食料品製造業では、野菜高騰による仕入価格の上昇が採算を悪化させていることや漁獲高の減少による生産量調整によって売上確保ができないとの声があった。また、段ボールやプラスチック容器の資材価格の上昇分を価格転嫁できず厳しい経営環境が続いているとの報告があった。
<建設業> ◇…需要増で売上が改善するも、原材料高により採算確保が十分ではない建設業…◇
建設業の業況DIと資金繰りDIは先月から一転、小幅に改善した。売上額DIは大幅改善、採算DIは小幅改善した。年度末を控え公共工事が売上増に貢献するとともに、住宅やそのリフォーム等の民間需要も堅調な動きを示しているとのコメントがあった。また、大雪による除雪作業が売上に寄与した一方で、慢性的な人手不足であり、除雪作業を優先した結果、施工工事の工程遅れを危ぶむ声もあった。また、建築用鋼材、重機用燃料、住宅用建材の高騰により利幅が減少しているとの声も聞かれた。
<小売業> ◇…季節需要も限定的であり、大雪や寒波により客足が伸びなかった小売業…◇
小売業の業況DIは2ヶ月連続して小幅に悪化した。採算DIは改善したが、売上額DIは小幅悪化、資金繰りDIはわずかに悪化した。経営指導員からは、一部の業種で卒業・入学シーズンにより売上が増加したことや厳冬により防寒具などの冬物商品が好調であったとの声が聞かれた一方で、少子化により新入学生向け商品の売上が年々減少していることや天候不順が続くために春物の売上が低迷していること、地域によっては大雪や寒波により商品仕入れが出来なかったり、消費者の来店数が減少したりして売上減少を招いたとのコメントがあった。
<サービス業> ◇…理美容業を中心に厳しい状況が続くサービス業…◇
サービス業は業況DIは小幅に悪化した。採算DIは不変であったが、売上額DIは小幅悪化、資金繰りDIはわずかに悪化した。クリーニング業は季節の変わり目でもあり、小幅に改善がみられたが、理美容業は固定客の減少や低価格店舗との競争など厳しい環境におかれている。また、旅館業については、外国人観光客や工事関係者を受け入れているところは安定しているが、観光オフシーズンであるので総じて低調とのコメントがあった。
全国商工会連合会 企業環境整備課