小規模企業景気動向調査
平成30年8月期調査
~猛暑や台風等の影響を受け、停滞気味の小規模企業景況~
2018年10月3日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2018年8月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…猛暑や台風等の影響を受け、停滞気味の小規模企業景況…◇
8月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)が不変で、採算DIと資金繰りDIがわずかに改善、売上額DIのみわずかに悪化した。経営指導員からは、猛暑により衣料品や清涼飲料等の売上の増加や夏休みによる観光需要が増えているという声がある一方、、7月豪雨災害による道路の寸断や台風の到来により観光客のの減少がみられるとの声もあった。猛暑や災害がもたらす影響が地域・業種によって大きく異なり、全体的には停滞傾向となった。
<製造業> ◇…一部業種が活況も、原材料高・人手不足が足を引っ張る製造業…◇
製造業の業況DIと売上額DIはわずかに改善、採算DIと資金繰りDIは小幅に改善した。新しい機械や技術を入れた企業が売上を伸ばしたり、お盆休みの生産増強で食品製造業や機械関連製造業を中心に活況を呈した。また、猛暑の影響により、清涼飲料や冷菓等の季節商品の売上が伸びているという声がある一方、豪雨災害の影響により原材料の納入が滞ったり、工場用水が使用できなかったりと、生産に影響がでている地域もある。一部業種では、原材料・原油価格の高騰により採算や資金繰りに影響がでているとの声や人手不足が引き続き深刻であるという声も聞かれた。
<建設業> ◇…地域によって明暗が分かれるも、原材料高・職人不足が影をさす建設業…◇
建設業の業況DIと資金繰りDIはわずかに改善、採算DIはわずかに悪化、売上額DIは小幅な悪化となった。公共工事については、地域により明暗が分かれ、発注数が少ないため草刈り等の仕事で急場を凌いでいるとい声のある一方で、災害復旧工事や学校の改修工事で高稼働を維持しているとの報告もあった。民間工事では、住宅建築を中心に来年の消費税増税を消費者が意識するようになり、発注が増えてきたとの声もあった。一方で、猛暑により作業環境が厳しく、作業効率の悪化を招いている。職人不足の影響が著しく災害復旧の工事が発注されても人手と工期の問題から入札に参加できないとの声が聞かれた。
<小売業> ◇…天候の影響により客足が伸びず、厳しい状況の小売業…◇
小売業の業況DIと売上額DIは小幅に悪化し、資金繰りDIはわずかに悪化した。先月から続く猛暑によりビール、清涼飲料や冷凍品の売上が好調との声が聞こえるも、全体的には、猛暑や台風・大雨の影響により客足が鈍く、お盆や夏休みの時期にも関わらず消費は力強さに欠ける状況である。また、天候の影響により、農産物価格が高騰したり、輸送費の値上げがあったりして採算を圧迫しているとの声も聞かれた。
<サービス業> ◇…夏休み・お盆の需要を取り込むものの、食材高騰の影響を受けるサービス業…◇
サービス業の業況DIはわずかに悪化し、売上額DIは小幅に改善、採算DIと資金繰りDIにいたっては、わずかに改善に留まった。ホテル・旅館業では、夏休みやお盆の需要を取り込み、売上や稼働率を確保したり、合宿や工事関係者の需要により好調である。また、暑さが過ぎた下旬には理美容・クリーニング業も回復が見られた。。一方で、猛暑や台風等の影響で、食材の価格が高騰し、利益は少ないとのコメントも寄せられた。
全国商工会連合会 企業環境整備課