小規模企業景気動向調査
平成30年9月期調査
~相次ぐ自然災害等の影響で、悪化に転じた小規模企業景況~
2018年11月7日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2018年9月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…相次ぐ自然災害で、建設業を除く3業種で被害が深刻な小規模企業景況…◇
9月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)と採算DIがわずかに悪化、売上額DIと資金繰りDIが小幅に悪化した。相次ぐ台風や北海道胆振東部地震などの自然災害により、原材料の調達や商品の入荷の停滞や観光客の来訪に支障を来すなどの深刻な被害を来たした。また、人手不足や原材料高、貿易問題による受注への影響もあり、停滞傾向から悪化に転じた。
<製造業>◇…台風や地震による直接被害のほか、停電等の二次被害により影響を受ける製造業…◇
製造業は全項目が悪化。悪化幅は、業況DI、売上額DI、資金繰りDIが小幅、採算DIのみわずかであった。猛暑が終わり、一部の食料品製造業でも客足が回復しつつある。また、輸出関連では、金属製品製造業、工作機械製造業、自動車部品製造業を中心に受注が好調である。一方で、台風や北海道胆振東部地震により、直接地震の被害を受けた地域のほか、食料品製造業で注文のキャンセルにより売上が減少したケースや、北海道や静岡県で長期化した停電で原材料廃棄が発生したり、電気使用量の多い金属製品製造業を中心に大きな損失を出したりしたとの声も聞かれた。
<建設業> ◇…業況は好調も、受注・採用競争が苛烈な建設業…◇
建設業は資金繰りDIこそ若干の悪化となったが、それ以外の業況DI、売上額DI、採算DIで小幅に改善した。相次ぐ台風による被害で、ガラスや屋根といった職別工事業、電気や水道管といった設備工事業を中心に復旧工事需要が増している。公共工事では、規模の大きい工事の発注は少なく、小規模な工事が多い傾向にある。民間工事では、新築戸数は少なく、リフォーム工事が多い。また、全国で発生する災害復興工事のため、県をまたいでの受注競争、人材の採用競争が発生しており、受注や採算に影響がでている。
<小売業> ◇…台風などの天候不順や地震・停電の影響により、悪化傾向の小売業…◇
小売業は全項目で悪化。悪化幅は、業況DIと資金繰りDIはわずか、売上額DIと採算DIは小幅となった。10月からタバコや一部商品が値上げになることから、業種によっては若干の駆け込み需要が見られた。また、先月まで続いた猛暑が一段落し、秋冬物への移行が徐々に進んでいるとの報告があった。一方で、小売業においても台風などの天候不順や地震の影響は大きく、野菜や牛乳を中心に商品入荷が遅れ、品薄状態が続き、売上が減少したり、停電による商品廃棄も発生して経営を圧迫している。
<サービス業>◇…秋の行楽シーズンに入るも、天候不順や地震の影響で大幅悪化となったサービス業…◇
サービス業は全項目で悪化。悪化幅は、業況DIと売上額DIは大幅、採算DIは小幅、資金繰りDIはわずかであった。夏の観光シーズンから秋の行楽シーズンに移行し、集客が持ち直している地域もあるものの、台風、北海道胆振東部地震、西日本豪雨の影響により、全国的には旅館やホテルでは例年よりも客数が減少している。宿泊業に付随したリネンクリーニング業などの関連サービス業では、宿泊業不振にともない業況が悪化しているとの声があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課