小規模企業景気動向調査
平成30年12月期調査
~停滞感から一転、小幅に改善した小規模企業景況~
2019年2月15日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2018年12月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…暖冬による恩恵を受ける地域があるも、天候不順が景気低迷を誘発する小規模企業景況…◇
12月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)、売上額DI、採算DI、資金繰りDIのいずれもが改善した。改善幅は、売上額DI、採算DIがわずかで、資金繰りDIと業況DIは小幅に改善した。年度末の資金需要に対し各地の金融機関は貸出姿勢も良好であった。また、昨年と比べると全国的に降雪が少なく、車による移動がスムーズなことが集客につながっている反面。雪を必要とする観光業や宿泊業では客足が減少したり、天候不順による不漁で水産加工業等に影響がでている。
<製造業>◇…回復基調から一転、全項目で悪化に転じた製造業…◇
製造業は先月から一変、全項目が悪化となった。特に売上額DIと採算DIが小幅に悪化した。一部の食料品製造業では、原材料の仕入価格が安定してきたことや年末年始に向けた受注が増えてきたことにより、売上増に期待が持てるとの声がある。また、新たな機械の導入により、生産性を向上させ売り上げをあげている企業があるとのコメントがあった。一方で、段ボールや石油由来のプラスチック容器、ビニール製品等の資材価格が高騰してきていることや、米中関係の悪化などから海外への輸出が伸び悩んでいるとのコメントが見られた。
<建設業> ◇…人手不足に起因する公共工事発注の絞り込みにより、地域に差が出る建設業…◇
建設業は全項目で改善となった。売上額DIと採算DIは小幅改善、資金繰りDIと業況DIは大幅に改善した。災害からの復旧工事需要が引き続きあり、また、消費税の駆け込み需要による建築・リフォーム工事も好調である、全般的に下請工事で繁忙を極めるが、公共事業の絞り込み等により地元の工事量が乏しく、県外や遠方での受注が増えているとのコメントが見られた。業況は好調なものの、人手不足による影響が著しく、採算等を圧迫している。また、除雪作業が増えてくるシーズンであるが、全国的に降雪が少ないため、目立った動きは無い。
<小売業> ◇…数値上は全項目で改善を示すが、景況感は改善とは言い難い小売業…◇
小売業は、先月から一転全項目で改善となった。特に採算DIを除く3DIで小幅に改善した。年末の需要で食料品販売業が好調であり、寒さにより暖房器具等にも動きがあるとのコメントがあった。また、積雪の少ない地域では、客足の減少が見られず、好調であるとの声も聴かれた。しかし、消費税の増税懸念に加え、暖冬、大型店・ネット通販との競合から小売業を取り巻く環境は大変厳しく、改善を示すコメントは少なかった。
<サービス業>◇…好調が継続も、人手不足や燃料高により厳しい状態の続くサービス業…◇
サービス業は先月に引き続き、全項目が改善した。特に採算DIは大幅に改善した。年末年始の各種イベント需要から理美容業において利用者の増加が見られた。宿泊業では冬シーズンの到来から売上が伸びている地域もある。しかし、人手不足については依然として改善されず、他業種を競合し人材の獲得競争に拍車をかけている他、運輸関連は燃料の高止まりから厳しい状態が続いているとのコメントがあった。
全国商工会連合会 企業環境整備課