小規模企業景気動向調査
平成31年2月期調査
~全業種が悪化し、全体でも2か月連続の悪化となった小規模企業景況~
2019年4月15日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2019年2月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…全業種が悪化し、全体でも2か月連続の悪化となった小規模企業景況…◇
2月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)、売上額DI、採算DI、資金繰りDIすべてにおいて小幅に悪化した。2月期は、日本海側を除き降雪が少なく、スキーやスノーボード等のレジャー産業が伸び悩んだ。一方で、景況感が悪いながらもオリンピック準備のため、一部の製造業や建設業で好況の兆しが出始めているが、人手不足により受注機会を逸しているとのコメントが寄せられた。
<製造業>◇…人件費や資材価格の高騰により利益に結びつかない製造業…◇
製造業は資金繰りDIが若干悪化し、それ以外の3DIは小幅に悪化した。堅調な建築鉄骨需要に加え、溶接技能者の不足を補足するために高性能の建築部品の需要が高まった。一方で、受注の小ロット化により包材等のコストがかさんだり、人手不足による人件費の増加や全体的な資材価格の高騰により、受注はあっても利益につながらず採算が取れないとの声が寄せられた。
<建設業> ◇…民需・公需ともに需要は豊富だが、雪や人手不足等の外部要因に悩む建設業…◇
建設業は売上額DIのみわずかに改善したが、業況DIと採算DIは小幅に悪化、資金繰りDIはわずかに悪化した。建築では今年10月の消費税増税を前に駆け込み需要が発生しているとの声が寄せられた。土木では年度末を迎え公共工事が活況を帯びるが、一方で降雪が少ないことで除雪需要を見込んでいた企業の利益を圧迫するほか、人手不足で工賃の上昇や受注機会喪失の影響が大きくなってきたとの声がきかれた。
<小売業> ◇…季節要因で一部業種は好調も、全体的には停滞感が強い小売業…◇
小売業は、資金繰りDIこそわずかな悪化に留まったが、業況DI、売上額DI、採算DIはいずれも小幅に悪化した。服飾雑貨を取り扱う小売業では、通年で売り上げはあるものの、特に3月4月は卒業式、入学・入社式シーズンが続くことから、売上が上がるとコメントが寄せられた。また、暖冬で客足がのび、婦人服小売業を中心に好調さが見られた。一方で、暖冬は燃料小売業や冬物衣料を取り扱う店舗では悪影響を及ぼした。また、キャッシュレスへの問い合わせが増えるも、効果が未知数なので導入に躊躇する声もある。
<サービス業>◇…暖冬で観光業に明るさが見えるも、全体的に需要が不足しているサービス業…◇
サービス業は売上額DIが大幅に悪化、それ以外は小幅な悪化であった。先月に引き続き2月期も比較的温暖であったことから、一部の観光業では売上が堅調に伸びているとの報告があった。一方で、そもそも飲食・理美容・洗濯等の業種で需要が少ない時期であるが、雪が少なくタイヤ交換需要が少なかったことから自動車修理業への客の入りが少なかったとの声やプロ野球のキャンプが佳境に入ったが、宿泊需要に対応できずに機会損失が発生しているとの報告があった。
全国商工会連合会 企業環境整備課