小規模企業景気動向調査
令和元年5月期調査
~2か月連続の回復から再び足踏み状態となった小規模企業景況~
2019年7月11日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2019年5月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…2か月連続の回復から再び足踏み状態となった小規模企業景況…◇
5月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)、売上額DI、資金繰りDIは先月から一転、業況DIはわずかであるが悪化とに転じ、2か月連続の回復から足踏み状態となった。売上額DIと資金繰りDIは小幅、10連休であった今年のGWにより製造業と建設業では悪影響、小売業とサービス業では好影響としたコメントが目立った。
<製造業>◇…一部業種に好調さが見られるも米中の貿易摩擦を受け、悪化に転じた製造業…◇
製造業は採算DIが小幅、資金繰りDIがわずかに改善したものの、業況DIは先月と比べ不変、売上額DIはわずかに悪化した。特に昨年前半まで好調を呈していた機械器具製造業では、昨年10月期以来7ヶ月連続して業況DIが悪化した。経営指導員からは自動車部品製造業については順調に生産が続いているとの声が聞かれるも、米中の貿易摩擦の影響を受けて業況の悪化を懸念する声や中国製スマートフォンの生産抑制を受けて電子部品・デバイス・電子回路製造業では、発注量が少なくなっているとの声が聞かれた。
<建設業> ◇…公需・民需を問わず工事量が出始めるも、人手不足により悪化際立つ建設業…◇
建設業は、全DIで悪化した。特に売上額DIが大幅、資金繰りDIが小幅に悪化した。経営指導員からは、公需は各地で予算の執行が始まり公共工事が出始めたことや、民需では消費税増税前の駆け込み需要が発生しており、また、季節需要では夏の猛暑に向けて、内装・外装工事が増えてきているという明るい話題もあるが、全般的には熟練技術者を中心に人出不足感が依然として払拭されず、受注に至らない事例や工期の遅れが発生しており、業況は厳しい。
<小売業> ◇…土産物や食料品小売業を中心に売上を伸ばすも、業況の改善には至らない小売業…◇
小売業は、採算DIがわずかに改善するも、他3DIは先月から一転悪化となった。悪化幅は、業況DIと資金繰りDIが小幅、売上額DIはほぼ不変であった。10連休を使用した帰省客や旅行客が増え、食料品小売業を中心に売上が伸びてきているものの、全体的には厳しい状況に変化はない。経営指導員からは、今年10月の消費税増税を前に、キャッシュレス・軽減税率対応で高額な設備投資をやむなくされているとの声もあった。
<サービス業> ◇…観光業や洗濯業を中心に売上が伸びるも、その恩恵は各地へは拡がらないサービス業…◇
サービス業は業況DIこそ先月と不変であったが、他3DIは先月から一転悪化、特に資金繰りDIはわずかに悪化した。大型連休の特需消費を取り込めた観光サービス業種や気温上昇により発生した衣替え需要により洗濯業では、売上を伸ばせたとの声が聞かれた。一方で、今回の大型連休を機に海外に出掛けるケースも珍しくなく、日本国内の温泉街では予想していたほど客足が伸びなかったとの声や大雨の影響を受けた地域では、売上に影響を及ぼしているとのコメントが見られた。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課