小規模企業景気動向調査
令和元年6月期調査
~製造業・サービス業の悪化が響き、2か月連続の悪化となった小規模企業景況~
2019年8月1日
全国商工会連合会
<調査概要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2019年6月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…製造業・サービス業の悪化が響き、2か月連続の悪化となった小規模企業景況…◇
6月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の資金繰りDIがわずかに改善したものの、それ以外の業況DI、売上額DI、採算DIは悪化した。特に、製造業・サービス業の悪化幅が大きかった。昨年の西日本豪雨のような大規模な被害こそ無かったが、北陸地方、九州南部を中心に大雨が目立ったのをはじめ、全国的に天候不順が続き、野菜価格の高騰が生じている。また、米中の貿易摩擦や6月末に表出した韓国向け輸出管理等、国際情勢の先行き不安や10月の消費増税に向けた動きを取り上げたコメントが目立った。
<製造業>◇…国際情勢や需要減などの影響で大きく悪化した製造業…◇
製造業は全項目で悪化となった。特に、業況DIは4か月連続、売上額DIは3か月連続の悪化となった。経営指導員からは東京オリンピック・パラリンピックの競技施設への建築部品の需要増の恩恵を受け、売上を伸ばしている企業があるとの声が聞かれるものの、機械・金属や電子部品製造業で、引き続きの原材料高、米中の貿易摩擦や最近の不安定な韓国情勢などの影響で、受注の減少やそれに伴う在庫増を懸念する声拡がっている。
<建設業> ◇…消費増税に伴う駆け込み需要で活況も、小粒な受注が目立つ建設業…◇
建設業は、先月から一転、全項目で改善となり、業況DIは5が月ぶりにプラスに転じた。経営指導員からは、消費税増税の駆け込み需要による新築案件はあるものの、消費税に関する経過措置の対象期間が3月に終了し、引き渡しが10月1日以降となる工事については、現在、発注すると消費税が10%となることから、増税前の9月までに完了のできる小規模な工事への受注が伸びている。一方で、大規模な工事については引き渡しが増税後になることから、発注が差し控えられている傾向が見られるとの声があった。
<小売業> ◇…消費税増税・軽減税率制度導入に対して対応に追われる小売業…◇
小売業は、資金繰りDIが小幅改善するも、他3DIについては悪化となった。昨年の猛暑の反省と10月の消費税増税から、エアコンを中心とした耐久消費財への需要の高まりが見られるが、需要の先食いにすぎないとの声もあがっている。また、リフォーム工事と絡めた設備工事業との競合が発生しており、販売だけではない付加価値が求められている。商工会としては軽減税率対応を促しており、すでに対応済みの事業者も多いが、一方で、制度の理解や準備が進んでいない事業者も多いとの声も寄せられた。
<サービス業> ◇…閑散期や原材料価格上昇に伴い、売上減や収益悪化が目立つサービス業…◇
サービス業は、先月唯一好転であった業況DIも今月は小幅に悪化に転じ、全DIが悪化となった。例年、6月は梅雨に入り、かつ、GW・夏季休暇の狭間の時期になることから、観光業は振るわない傾向があるが、インバウンドや校外学習の需要を取り込んだ地域や企業では、好調を維持しているが、全体的には低迷している。また、運輸業・クリーニング業では、石油製品の価格が半年ぶりに上昇していることから、採算が悪化がしているとの声があった。
全国商工会連合会 政策推進部 事業環境課